レッドゾーン 下 真山仁


 2015.12.24      買収合戦で中国に勝つ方法 【レッドゾーン 下】

                     
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■ヒトコト感想

鷲津がどのような決断をするのか。アカマ自動車が中国に狙われ、その防衛のため鷲津がホワイトナイトとしてアカマに入り込む。企業買収の激しさと巨大資金を持つ者にねらわえた場合、どのようにして防衛していくのか。国に頼って守ってもらうのか、それとも自力でどうにかするのか。鷲津がホワイトナイトとして参加したのには、勝算があるからだ。

驚きなのは、企業買収を防いだ場合の報酬額だ。金が目的でなければ動かない鷲津。1兆円を手に入れるために、鷲津が動き出す。中国との直接対決の場面で鷲津の前に現れる強敵は、鷲津の師匠だ。企業買収の肝は、どれだけ情報収集できるかと、どれだけコネがあるかにかかっている。鷲津の示した答えに特別な驚きはないが、仕掛けの大掛かりさに驚いてしまう。

■ストーリー

賀一華(ホーイーファ)を先鋒に、次々と仕掛けられる買収策。繰り出される揺さぶりに翻弄され、追いつめられたアカマ自動車は、最後の手段として、ハゲタカ・鷲津が「白馬の騎士(ホワイトナイト)」になることを求めた。圧倒的な資金力を誇る中国に乗るか、旧態依然とした日本を守るのか、鷲津が繰り出した一手とは?

■感想
中国の巨大企業から狙われたアカマ自動車。自分たちを守るために招き入れたのは鷲津だった。中国には金がうなるほどあり、このままでは元を切り上げられることを恐れて、金を使えるだけ使おうとする中国。ちょっと前のバブルの中国を想定しているのだろう。

金を使うために、株価が市場価格にマッチしていないとしても、資金をどれだけ投入したとしても買収しようとするその執念。そんな国と買収で戦おうとする鷲津。鷲津が使うのは様々な人脈と、相手の弱みをつくところだ。

アカマ自動車内部の葛藤もまた描かれている。裏からスキャンダルで脅され、会社としての不祥事でも脅され、ついには社長の辞任へとつながる。会社は誰のためにあるのか。創業者一族をどこまで守る必要があるのか。

自社が外資に買収されるとしても、創業者一族の名誉を守る必要があるのか。鷲津のドライなアドバイスにしびれてしまう。内部にいては気づかない悪しき習慣を鷲津がぶち破る。このあたり、すべてが合理的な行動につながる鷲津らしいドライな流かもしれない。

鷲津が最後に対決するのは…。鷲津の師匠だ。中国と戦っていたはずが、中国が巨大な資金を用いてアメリカの巨大ファンドまでも手足のように動かそうとする。常にポーカーフェイスの鷲津が唯一焦りを浮かべるのが相手が判明したときだ。ただ、腹をくくった鷲津は、自分を育ててくれた師匠すらも負かせるような策略を思いつく。

かなり斬新なアイデアで、すべての人たちがハッピーになれることを考える。ただ、そのお膳立てをしたとしても、それを実行し成功するかは未知数だ。このあたり、このシリーズに共通することだが、買収後の成長を当たり前のように織り込んでいるのがポイントだ。

巨大な資金を持つ中国に勝つ方法はひとつしかない。



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