ランド・オブ・ウーマン


 2016.12.31      甘っちょろい男が女たちに癒される 【ランド・オブ・ウーマン】

                     


■ヒトコト感想
脚本家のカーターが恋人にフラれ、傷心を癒すため、田舎で独り暮らしをする祖母の家に向かう。カーターの単純な失恋を癒す物語かと思いきや、祖母の家の近所にカーターの心を乱す母娘がいた。カーターはずいぶんとウジウジしているというか、煮え切らない印象をうけた。ちょっとボケ始めた祖母の面倒をみながら、ご近所さんとお近づきになる。

カーターにその気がなくとも、周りが言い寄ってくれば自然と良い関係となる。ただ、それぞれに皆心に悩みを抱えている。カーターが一番のんきなように思えてしまう。いずれは都会に戻るのだろう、という気持ちで見てしまった。ミシガンの田舎での生活が、カーターにどのような変化を与えたのか、最後までよくわからなかった。

■ストーリー
「この世は混沌として惨めなだけ。望むことは決して起こらない」・・・新進の脚本家、カーター・ウェブは人生に絶望していた。有名女優の恋人にフラれ、仕事にも嫌気がさした彼は、住み慣れたロサンゼルスを離れ、祖母の面倒を見るためミシガン州の郊外へと引っ越す。そこで彼は、近所に住んでいる母娘に出会う。 美しく、人生と愛に悩み、大きな秘密を抱える彼女たちとの出会いは、カーターが予想すらしなかった人生の転機となり、傷ついた彼の心を癒していくのだった…。

■感想
有名女優の恋人にフラれ、すべてが嫌になり祖母の面倒をみるのを口実としてミシガンの田舎に逃げるカーター。そこでご近所さんの美しい母娘に出会う。失恋した男が環境を変え心機一転頑張るという流れの物語ではない。

元恋人のことが忘れられず、いつまでもウジウジと悩むカーター。かと思うと、ご近所さんから誘われるとホイホイついていく。カーター目線での物語は、非常に能天気に感じてしまう。本人は世界の終わりのように悩んではいるが、その周りでは実はもっと深刻な悩みを抱えている者たちがいる。

カーターのご近所さんの母親は、乳がんをわずらっており、夫の浮気にも悩まされている。表面上はごく普通の家庭なのだが、家族たちは大きな悩みを抱えている。それを知ったカーターは…。少しボケ始めた祖母の面倒をみながら、自分自身を奮い立たせようとする。

失恋で落ち込む気弱な青年が、少しずつ変わっていく。近所に住む若い娘からすると、ちょっと年上で知的な男というのは興味がわくのは当然だろう。家族が崩壊していたとしても、どこか心の寄りどころになる何かを探しているようなそぶりすらある。

カーターの悩みは他の者たちの悩みに比べると、ずいぶんどうでも良いことのように思えてくる。別れた元恋人が売れっ子女優になり、自分はパッとしない脚本家としての仕事を続ける。何かをふっきるようにひたすらジョギングするというのも、甘っちょろいような気がした。

失恋の傷が癒えたら、あっさりとミシガンを出ていくような雰囲気もあるが…。カーターの煮え切らない雰囲気というのが、今のリアルな若者像なのかもしれない。

状況を的確に表現した作品と言えるのだろう。



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