プリズナーズ


 2017.4.12      すばらしく綿密に計算されたミステリー 【プリズナーズ】

                     
プリズナーズ [ ヒュー・ジャックマン ]
評価:4

■ヒトコト感想
近所で遊んでいたはずの子供たちがちょっと目を離したすきに何者かに誘拐される。近所のIQの低い青年アレックスを疑う父親のケラー。刑事のロキが必死に捜索するのだが子供たちは見つからない。ケラーの苛立ちと暴走がすさまじい。アレックスに疑いを抱いたケラーはアレックスを監禁し拷問して子供たちの居場所を聞き出そうとする。

ロキは刑事らしくない見た目とは裏腹に、丁寧な捜査をする。中盤には、犯人と思わしき男も登場し、誰が真犯人なのかラストまでわからない。序盤から数々の伏線が用意されており、それが終盤で生きてくる。犯人は予想外の人物であり、犯人が判明した時に全ての謎が解けたという感じだ。非常に暗い話だが、すさまじくミステリアスな作品だ。

■ストーリー
ペンシルヴェニア州で小さな工務店を営むケラー(ヒュー・ジャックマン)の幸せに満ちた日常は、何の前触れもなく暗転した。感謝祭の日、6歳の娘アナがひとつ年上の親友と一緒に外出したまま、忽然と消えてしまったのだ。まもなく警察は青年アレックス(ポール・ダノ)を容疑者として拘束するが、自白も物証も得られず2日後に釈放。

刑事ロキ(ジェイク・ギレンホール)の生ぬるい対応に不満を隠せないケラーは、アレックスがふと漏らしたひと言から、彼が犯人だと確信し、自らの手で口を割らせようとする。最愛の娘を取り戻したい一心で、法律とモラルの一線を踏み越えていく父親。

■感想
幸せな家族に突如襲いかかる不幸。ついさっきまで遊んでいたはずの子供たちの姿が見えない。突然の誘拐というのは恐ろしい。そして、誘拐されてから時間が経てば経つほど生存の可能性は低くなる。それを知っているだけに焦るケラー。

最初に浮かび上がった容疑者は、近所に住む知能に遅れのある青年アレックスだ。証拠がないため解放されたアレックスを監禁し、拷問するケラー。子供を助けたい一心と、早くしなければという焦りがケラーを鬼に変えていく。

アレックスの拷問シーンはすさまじい。最終的に、ケラーは顔を見ると気持ちが折れるからと、個室を作りそこにアレックスを閉じ込め、熱湯をかけ拷問する。アレックスの知能が低いということが、ケラーの拷問をより激しいものにしているのだろう。

刑事のロキが調査し、犯人らしき人物を見つけるのだが…。その男は取り調べ中に自殺してしまう。観衆は誰が真犯人かわからないまま子供たちはどうなるのかという不安な気持ちで見るしかない。全体の雰囲気が非常に陰鬱で恐ろしいものとなっている。

真犯人の正体は衝撃的だ。序盤に意味の分からない伏線が多数登場してきたが、すべてはこの犯人のためにあったのだろう。序盤に登場した神父が監禁していた男。まさかの繋がりがあるとは衝撃的だ。さらにはロキの苦悩と、ケラーの暴走がより激しくなり、最後はケラーは自業自得というような状態となる。

子供たちを助け出そうとするが、逆に犯人に監禁されるケラー。物語のオチとしては、事件が解決したあとのロキによってケラーも助け出されるのだろうと安易に考えていたのだが…。

すばらしく綿密に計算されたミステリーだ。



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