2017.11.3 すべてはひとりの人物の物語 【プリデスティネーション】
プリデスティネーション [ イーサン・ホーク ]
評価:3.5
■ヒトコト感想
非常にややこしい作品だが、最後の最後に衝撃が走り、次のタイミングで頭の中で時系列に整理しようとする。ネタバレ内容をかなり含んでいるので、まだ見ていない人はこの先を読まない方が良い。ネタバレしてしまうと、面白さは半減するだろう。冒頭から顔を大やけどし顔と声を変える流れとなる。この時点で何か気づくだろうが、物語が進むにつれてこのエピソードを忘れてしまう。
その結果、最後の最後であっという驚きがある。青年ジョンとバーテンダーの会話がメインなのだが、そこでジョンの人生が判明し、そこから時空警察の話へと繋がる。結局のところ尻尾を食べる蛇のように、ウロボロス的な流れだ。タイムパラドックス的にはありえないが、強烈なインパクトのある作品だ。
■ストーリー
1970年、ニューヨークの酒場に現れた青年ジョン(サラ・スヌーク)がバーテンダー(イーサン・ホーク)に奇妙な身の上を語り始める―。女の子<ジェーン>として生まれ、孤児院で育った"彼"は、18歳の時に恋に落ちた流れ者との子を妊娠。
しかし、その男はある日"忽然"と姿を消し、赤ん坊も何者かに誘拐されていた。そして、出産時の危機から命を救うため、自分は男になったと話す…。青年の哀れな境遇に同情したバーテンダーは、自らの驚くべき素性を明かす。なんと彼は未来からやってきた時空警察のエージェントだったのだ―。
■感想
ネタバレを含む。昔からあるネタとして、過去にタイムスリップして子供のころの自分を殺したとしたら、今の自分はどうなるのか。タイムパラドックス的には、新たな時間軸ができるため、自分はまったく関係ない。子供を殺した瞬間に自分が消えるわけではない。
本作では、バーテンダーが時空警察としてあらゆる時代を移動しながら爆弾魔を追いつめるという話になっているのだが…。結局のところ、すべては自分が起こしたこと、というなんだか頭がこんがらがるような物語だ。
バーテンダーと話し込む青年ジョン。まずジョンの数奇な人生が面白い。孤児院の前に置かれた赤ちゃんが成長し美しい女となる。そこから男と女のどちらの性ももつ特異体質だと気付く。この時点で勘のよい人は気づくだろう。
ある男と運命の出会いをし、子供を産むが、その子供が何者かに連れ去られてしまう。オチを言うと、子供を連れ去ったのはバーテンダーで、その子供が孤児院の前に置かれた赤ちゃんだということになる。自分の子供が自分自身という、ウロボロスのような混乱が発生する。
さらに強烈なのは、少女ジョンの相手の男は、未来で男となったジョンだった。つまり、自分で自分とセックスし自分を産む。それらをすべてコントロールしたのはバーテンダーだ。ただ、このバーテンダーも爆弾魔との対決で顔を変えているという過去がある。なんやかんやあり、爆弾魔の正体は未来の自分だと気づくバーテンダー。
そして、観衆はバーテンダーの正体を知ることになる。すべてはバーテンダーひとりの物語ということだ。
今までこれほど強烈なタイムスリップ作品は見たことがない。
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