2017.9.22 ボストンマラソン爆弾テロの衝撃的な真実 【パトリオット・デイ】
パトリオット・デイ
評価:4
■ヒトコト感想
衝撃的な作品だ。ボストンマラソンでの爆弾テロ事件を描いた作品だが、ここまで激しい戦いが繰り広げられていたとは思わなかった。日本の報道ではテロが起こり、のちに逮捕されたという程度の情報しかない。それが外出禁止令が出ていたり、テロ犯と街中で激しい銃撃戦を繰り広げ、爆弾が爆発しまくったり。
実話を元にしているだけに衝撃的だ。おまけに実在の人物と顔を似せた俳優たちが演じているだけに、見る人によってはかなり感情移入できるだろう。情報統制された世界では、テロ犯はあちこちに配置された監視カメラであっという間に顔は知られてしまう。ただ、そこから犯人にたどり着くまでのはるか遠い道のりが、ひりつくような緊張感で描かれている。
■ストーリー
犯人特定から逮捕までの驚くべき102時間を描く、<奇跡の実話>!毎年、祝日である「愛国者の日」に開催される歴史あるボストンマラソン大会。そんな伝統あるイベントを狙った大規模な爆発テロが発生した。9.11同時多発テロ以降の事件にアメリカは震撼し、爆発時の映像はまたたく間に世界中に配信された。
ボストン警察の面々は、FBI捜査官らの思惑と衝突しながらも、やがて浮上した“黒い帽子の男”と“白い帽子の男”を容疑者として追跡していくー。
■感想
冒頭から複数の人物のちょっとした日常のエピソードが大量に挟み込まれる。これにどのような意味があるのかはのちに判明する。ボストンマラソンのテロ事件で被害にあった一般人や、テロ犯に人質にとられ車で逃走させられた人物や、犯人により犠牲になった者たちのエピソードだ。
そのため、普通の映画にあるような、その他大勢の警官が撃たれた程度で終わるところが、強烈な印象を残している。本来なら、犠牲になった人ひとりひとりに濃密な物語がある。それをあえてわからせようと、犠牲者たちの紹介エピソードに時間をとっているのだろう。
犠牲者たちに比べると犯人側のテロにいたるまでの思想やバックグラウンドはほとんど描かれていない。そのかわり、逃走してからの動きはこれでもかと濃密に描かれている。最新機器と人員を動員してのテロ犯捜索にあたるFBI対犯人たち。あっさりと犯人は逮捕されるものと思っていたが、思いのほか犯人たちは逃げ回る。
テロ犯に人質として車に乗せられた中国人青年の存在がなければ、より犯人逮捕には手間取っていただろう。全ての場面が緊迫感にあふれており、一瞬の気の緩みも許されない流れだ。
FBIの捜査責任者は最高にかっこよい。判断に悩み苦しみながら、決断を下す。知事や地元警察から強烈な突き上げを喰らったり、情報を漏えいさせた何者かに怒り狂ったり。このあたりのリアリティはすさまじい。
テロと判明してからのFBIの手際の良さ。犯人逮捕のために、全力を尽くす姿勢。あっという間に巨大な捜査本部が設置され、あらゆる証拠が床に並べられ、全ての携帯電話を集め、監視カメラの映像を分析する。ここまでやるか?と圧倒されてしまう。そこまでしても、犯人が逮捕できずジリジリと時間ばかりが過ぎ去る流れはすさまじい。
これほど緊張感に包まれっぱなしの作品は久しぶりだ。
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