王妃の紋章


 2017.11.7      王の王たるゆえん 【王妃の紋章】

                     
王妃の紋章 デラックス版/チョウ・ユンファDVD
評価:3.5

■ヒトコト感想
王の家族の骨肉の争いだ。表向きは平穏な家族のように見えるが、内情はドロドロしている。王妃を殺そうと、少しずつ毒を毎日飲ませ、弱らせようとする王。長男は継母である王妃と不倫し、三男は跡を継げないことに対して恨みを感じている。王家内部の裏のゴタゴタが、その後の謀反に繋がる。王宮へ押しよせる大群は爽快だ。

王妃と次男が謀反を起こし、金色の鎧に包まれた兵士たちが王の護衛たちをあっという間に倒してしまう。王も終わりかと思われた瞬間、どこからともなく灰色の鎧を着た大群が、金の兵士たちを取り囲み殲滅してしまう。この大量の兵士たちの戦いはすさまじい迫力がある。これを見るだけでも価値があるかもしれない。

■ストーリー
唐王朝滅亡後の時代。栄華の頂点には“黄金の一族”が君臨し、王家の繁栄は永遠かと思われた。しかし、宮廷内部では悪意に満ちた策謀が渦巻いていた。国王は病弱な王妃のために“特別な薬”を調合して与え続けるが、それは実は毒薬であった。

王妃は事実を知りながらも逆らえず毎日飲み続ける。一方、皇太子は継母である王妃との不義の関係を解消できずに苦悩していた。第二王子は衰弱した母の様子に異変を感じ取り、さらに唯一汚れを知らず無邪気な存在と思われた第三王子の心にも深い闇が広がり始め…。

■感想
王は王妃を毒殺しようとする。王妃はそのことを知りながら毎日毒を飲むしかない。王のプレッシャーはすさまじい。飲まなければ規律を乱すと脅し、飲めばいずれ死ぬ。弱っていく王妃に気づいた次男が、王妃と結託して謀反を起こそうとする。

非常に複雑な王家だ。長男は継母である王妃と不倫し、次男、三男は跡を継げないことを恨んでいる。王は圧倒的な権力をもつので、王妃や子供たちが刃向うことは許さない。王がどこまで知っているのか、序盤ではその不気味さがある。

中盤以降になると王の本性が現れはじめる。あらゆる場所に王の刺客を配置し、邪魔者を殺していく。秘かに謀反を企てる王妃と次男。そして、それに気づき慌て始める長男。王がすべてを知っていて泳がせているのが恐ろしい。

謀反の瞬間、大量の王妃の軍隊が王宮に押しよせる。その圧倒的な物量に、王もやられるというイメージでいた。王の護衛たちが次々、金の兵士たちに倒されていく。先頭に立って兵を鼓舞するのは次男だ。

そこから衝撃的な展開となる。大量の金の兵士たちを上回る数の灰色の兵士たちが王宮からワラワラとあふれ出てあっという間に金の兵士たちを皆殺しにしてしまう。王がすべてをわかっていながら、王妃たちを泳がせていたということだろう。

次男はそのことにうっすらと気づきながら挙兵を止めることはできなかった。大量の金の兵士たちの死体を、あっさりと片付けてしまう大量の王の従者たち。王家は殺し殺されの中で、王と次男と王妃しか残らない。そこで次男を追い詰め自害させ、王妃にまで迫る。恐ろしい王だ。

王の王たるゆえんを感じた。



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