2015.8.10 感情にまかせた言い合い 【おとなのけんか】
■ヒトコト感想
子供同士のけんかの後に集まった2組の夫婦。険悪な話し合いになるかと思いきや、最初は物わかりよく和やかな話し合いで終わる。が、平和的な話し合いで終わったはずが、ちょっとしたはずみで強烈なテンションの話し合いへと流れていく。
秀逸なのは弁護士の夫だ。真剣な話し合いの最中にしょっちゅう携帯が鳴り、それに応答し長話をする。できるエリート風ではあるが、空気を読むことをしない。妻はストレスからゲロを吐くは、お互いの夫婦の欠点を言い合ったり、最後にはパートナーについての悪口を言いあう。あるときは夫同士が協力し合い、またある時は、妻同士が夫の悪口を言う。マンションの一室での話だが中身は濃密だ。
■ストーリー
ニューヨーク、ブルックリン。11歳の子供同士の喧嘩の後、話し合いのため集まった2組の夫婦。リベラルな知識層であるロングストリート夫妻(ジョディ・フォスター/ジョン・C・ライリー)とカウアン夫妻(ケイト・ウィンスレット/クリストフ・ヴァルツ)。冷静に平和的に始まったはずの話し合いは、次第に強烈なテンションで不協和音を響かせ、お互いの本性がむき出しになっていき、やがては夫婦間の問題までもが露わになっていく。
■感想
最初から最後までマンションの一室での話し合いに終始する物語。子供同士のけんかに大人がどこまで入り込むのか。最初は穏やかな話し合いとして終わり、子供のけんかだからと、サラリと終わる雰囲気があった。それが、マンションを出る瞬間、別の話で盛り上がり、再度部屋の中に戻り語り合う四人。
手作りデザートを振る舞い、和やかな話し合いのはずが…。部屋に招く側で子供が被害を受けたロングストリート夫婦と、夫が弁護士のカウアン夫婦。弁護士夫の無神経な電話に、部屋中がピリピリするのが面白い。
話し合いは変な方向へと流れていく。ある場面では、ロングストリート夫妻の夫がハムスターを外に捨てたことに腹を立て、皆で強烈に非難し始める。そこでは妻同士がいちがんとなり強烈に夫を非難する。そんな場面でも弁護士夫は無神経に携帯で話つづける。
物語のひとつのターニングポイントは、カウアン夫妻の妻がストレスから嘔吐する場面だ。そこでいったんは議論は小休止し、それぞれがあわてだす。ここでもキャラの性格がはっきりでており、弁護士夫は自分のスーツが汚れたことだけを心配している。
なんども決裂しかけた話し合いも、部屋に戻ると別の話となり、議論が続く。ある場面では、激しく罵り合いながら部屋を出ようとすると、周りに迷惑がかかるからと、部屋に再度招き入れる。そして、おとなしく入るカウアン夫妻。
ここで部屋を出てしまえば終わる話が、もう一度戻ってくることで別の話が始まる。夫の大事な携帯を花瓶に投げ入れたり、大事なウィスキーを飲んだり。やっていることが段々と子供っぽくなるのが皮肉で笑えてくる。最初の冷静な大人同士の話し合いはどこかに吹き飛んでしまっている。
大人同士の感情にまかせた言い合いは非常に強烈だ。
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