俺はまだ本気出していないだけ


 2016.11.2      引きこもりよりはまだマシだ 【俺はまだ本気だしていない】

                     


■ヒトコト感想
42歳で無職バツイチ子持ち。父親と娘と三人暮らし。まずその情報を知らず見た。その瞬間、娘のことを妹と勘違いしていた。引きこもりでだらしない中年男というイメージでいたが、実は結婚し、離婚していたと知り驚いた。シズオはダメ人間だが、陰ではなく陽のような気がした。早くに結婚し子供もいる。

この時点で子供もある程度成長しているので、そこまでダメ人間ではないのでは?と思ってしまった。作中ではバイトに馬鹿にされたり、漫画家になることを否定されたり。シズオのダメさ加減が描かれているのだが、夢があって良いと思えた。子供が独立したならば、シズオがダメ人間になろうと自己責任なのでは?と思えてしまう。引きこもり系ではないのでかなりマシに思えた。

■ストーリー
大黒シズオ、42歳。バツイチで子持ち。「本当の自分を探す」と勢いで会社を辞めるも朝からゲームばかり。父親には毎日怒鳴られ、高校生の娘に借金し、バイト先ではミス連発。そんなある日、突然「俺、マンガ家になるわ」と」宣言。

根拠のない自信をもとに出版社に持ち込みを続け、編集者に励まされつつ雑誌掲載を目指す日々。描くことがな~いと悩み、父とケンカして(この歳で)家出。幼馴染やバイト先の友人も巻き込みながら、ボツばかりなのは「運がないから」とペンネームを変える始末。こんなシズオにデビューの日は訪れるのか・・・!?

■感想
タイトルを見た時に、ふと思い出したのは引きこもりの無職が、いつハローワークに行こうかと悩んでいるシーンだ。まともに就職したこともなく、親のすねかじりで40歳まで生きてきた。そして、明日は本気だすとつぶやくようなイメージだ。

それが、本作を見ると、確かにシズオはダメ人間だが、まだマシに思えた。何より一番驚いたのは、高校生の娘がいるということだ。つまり、早くに結婚し家庭を築き、離婚したということだ。その時点で、世間でいうところのダメ人間とはまた少しベクトルが異なるような気がした。

今でいう親に寄生した引きこもりのダメ人間ではない。どちらかと言えば昭和のダメ人間といったところか。仕事もせずダラダラゲーム三昧の生活。金がなければ娘に借金をする。まさに昭和のダメおやじそのものだ。

バイト仲間からは「店長」とあだ名を付けられ、本当の店長には頭が上がらない。そして、本気をだすということで漫画家を目指す。よくわからないが、妙な情熱を感じてしまう。シズオがダメ人間なのは間違いないが、陰鬱なダメ人間ではないところが、明るく楽しい物語の要因なのだろう。

漫画家を目指すシズオ。娘はそんなシズオを見ても、優しく接してはいるが、どこか冷めた表情をしている。シズオは42歳となり、娘はもうすぐ高校も卒業する。この段階までくれば、シズオはダメ人間のままでも良いのでは?と思ってしまう。

子供を育てるという義務を果たし、父親と三人でつつましい生活をする。バイトだけで生活できるなら、それで良いように思えてきた。これが、子供が小さかったり、引きこもりで一度も社会にでていないのであれば話は別だが…。

シズオの明るく前向きな、昭和のオヤジ的なダメっぷりはかなり良い。



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