2015.9.2 けなげに頑張る母親の姿 【おおかみこどもの雨と雪】
■ヒトコト感想
狼男と恋をして結婚、出産する。メインはおおかみこどもとして生まれた子供たちが、どのように成長していくかの物語だ。ただ、こどもだけでなく母親の成長も大きく描かれている。子供たちが狼に変身することが、周りにバレないよう山深い場所に生活の拠点を移す。ただでさえ大変な子育てが、おおかみこどもを育てるとなると、違う大変さもでてくる。
細田守監督のアニメ作品は、すべてのキャラクターに温かみがある。キャラクターデザインの効果なのだろうが、物語全体にほのぼの感が増している。冷静に考えると、母親の両親はどうしたのか?だとか、役所的な手続きはどのようにしたのか?などなど疑問はあるが、純粋に親子の物語を楽しむことができた。
■ストーリー
おおかみおとことのおとぎ話のような恋をきっかけに、結婚、出産、そして子育てを通じて女性として成長していく主人公と2人の(おおかみこども)の選択を描いた「親子」の物語。
■感想
おおかみおとこと恋をして子供を産むと、その子供はおおかみこどもとなる。人間とおおかみおとこのあいの子。どんな子供が生まれるかわからないので、病院で出産ができず、助産婦を頼むこともできない。こどもが生まれてからも小児科へ行くことはできない。
さらには父親であるおおかみおとこが…。子供をひとりで育てることになった母親の苦労が描かれており、子供を持つ親ならば何かしら感動する部分があるだろう。普通に子供を育てるのも大変な状況で、おおかみこどもを育てる。強烈な状況であることは間違いない。
おおかみこどもを抱えて都会で暮らすのはきびしい。ふとしたきっかけで狼に変身してしまう子供のために、周りに人の目のない山奥の田舎に引っ越す。ここでまた別の種類の苦労が待っている。普通に大学生だった母親が、突然田舎で自給自足の生活ができるはずもなく、そのあたりの苦労が描かれている。
そこでも、挫けることなく前向きに子供を育て畑を耕す姿を見ると、やはり感動してしまう。絵柄の効果もあるのだろうが、けなげな母親が必死で汗水たらして頑張る姿は、強烈なインパクトがある。
子供の成長と共に、子供は親から離れていく。おおかみこどもの場合は、普通の子供より少し早い。雪と雨の兄弟の性格の違いや、人間社会に対する溶け込み方に違いがあるため、奇妙な対比を生んでいる。
母親としてはどちらも子供の幸せを応援したいのだが、それぞれが求めるベクトルがあまりに違いすぎるため、観衆は複雑な感情になる。母親が強く成長する姿を描きながら、幸せな親子の姿がそこにある。子供を持つ親ならば、日々の生活と子供に対する考え方が、少し変化するかもしれない。
やはり、絵柄の力は大きいのだろう。
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