2017.7.18 みなが破滅へ一直線 【女と銃と荒野の麺屋】
女と銃と荒野の麺屋/ヤン・ニー
評価:2.5
■ヒトコト感想
荒野の町のさびれた麺屋を舞台に、複数の者たちが自分の欲望のために動き出す。麺屋の店主のワンと若い妻。そして、従業員のリー他2人。そこに警察官のチャンが加わり、偶然にしてはできすぎている物語が始まる。物語のポイントとなるのはまちがいなく警察官のチャンだ。
若い妻とリーの不倫を知ったワンに暗殺を依頼されておきながら、ワンを殺害して金を盗む。他の従業員たちも、ひそかにワンが貯めこんだ金庫の金を狙う。殺害した死体を処理する過程で、微妙な行き違いがあり誤解が生じ、その結果最、終的にはほとんどの者たちが誰かに殺されることになる。誰が得したというのはなく、みな破滅を迎える結末だ。
■ストーリー
万里の長城の西の果てにほど近い荒野の町。そこで中華麺屋を営む中年男ワンは、怒りに身を震わせていた。妻が若い従業員リーとの浮気に走り、商人から拳銃を購入したらしいのだ。警察官チャンからその報告を受けたワンは、妻とリーの殺害をチャンに依頼。
ところが麺屋の金庫に眠る大金に目をつけていたチャンは、ワンの思惑とは違う行動に打って出る。このときすでに誰もコントロールできない“人生の悪戯”に絡め取られた勝ち気な妻と臆病な愛人、傲慢な夫と狡猾な悪徳警官の4人は、破滅への道を転がり落ちていくのだった…。
■感想
ハリウッド映画のリメイク作品。さびれた麺屋で巻き起こる騒動。ワンが若い妻と従業員のリーの不倫を察し、警察官のチャンへ暗殺を依頼する。ここでチャンが強欲な面を見せ、費用の増額を迫る。さらにはワンが金庫に大金を隠し持っていることを知る。
ことの発端はチャンがリーたちを殺さず、ワンを殺して金庫の金を盗み取ろうとするところから始まる。ワンを殺してから、金庫が開けられず諦めかけるチャン。ここから妻とリーの誤解が始まりゴタゴタが広がっていく。
従業員のリーはワンが死んでいることを目撃し、荒野に埋めようとする。チャンはワンの死体が消えたことに驚く。皆がどこか後ろめたい面をもっているので、状況に一時的に面食らうが、すぐに自己保身に走る。特にチャンは警察官ということもあり、徹底して証拠を残さないようにする。
このあたり、チャンは冷酷非道だが、妙な几帳面さが面白い。リーは右往左往し、従業員のひとりが、実はワンの金庫を開けられ、中の金を盗もうとする。そこにチャンが偶然立寄り…。
後半はチャンの圧倒的な武力で殺しの連鎖が始まる。最後には、ひとり残された若い妻まで殺されるかと思いきや…。ストーリー的には特別な要素はない。ただ、偶然ヘンテコな状況にぶつかった時、どのようにして対処するかで大きく事態はわかっていく。
みなが自分の欲望に素直であるのは間違いない。それが間違った方向へとすすんでいき、短絡的な行動にでた結果が皆殺し状態なのだろう。チャンが終始表情を変えず、淡々と殺していくのが妙に印象に残っている。
みなが欲望に素直すぎる物語だ。
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