オーケストラ!


 2015.1.29      ラストの感動的演奏 【オーケストラ!】

                     


■ヒトコト感想

しがない劇場清掃員が実は天才指揮者だった。過去の栄光を思いだし、偶然の出会いから、もう一度ボリショイ交響楽団を復活させようと奮闘する。昔のオーケストラメンバーを2週間以内に集めなければならない。皆それぞれ職業を持ち音楽を忘れたはずが、パリで公演ということで集まり始める。ボロボロの身なりをし、金を稼ぐことに必死な者もいれば、ロシアからの亡命を画策する者もいる。

急いで集めたために、リハーサルなしの一発本番となる。はたしてコンサートは成功するのだろうか…。オーケストラメンバーの自由さが良い。団体行動を無視し、勝手きままに動き回る。いざ本番となると…。最後のコンサートは、今までのドタバタとのギャップで妙な感動がある。

■ストーリー

劇場清掃員として働くさえない中年男アンドレイ・フィリポフ(アレクセイ・グシュコブ)は、かつてはロシア・ボリショイ交響楽団で主席を務めた天才指揮者だった。彼は、共産主義時代、“ユダヤ主義者と人民の敵”と称されたユダヤ系の演奏家たち全員の排斥を拒絶し、名声の絶頂期に解雇されたのだった。

ある日、清掃中にアンドレイは、1枚のFAXを目にする。それは、演奏を取りやめたサンフランシスコ交響楽団の代わりに、パリのプレイエルに出演するオーケストラを2週間以内に見つけたいという内容だった。その瞬間、彼は、かつての仲間を集めて偽のオーケストラを結成、ボリショイ交響楽団代表としてパリに乗り込むことを思いつく。

■感想
ボリショイ交響楽団で天才指揮者として名声を手に入れていたアンドレイ。清掃員に落ちぶれた今でも音楽への情熱は忘れてはいない。オーケストラ復活のためにのメンバー集めがまず面白い。なぜみなボロボロの身なりで、髭面で太っているのだろうか。

オーケストラのビシっとしたイメージとは真逆な風貌が面白さを増幅させている。何年も楽器を触っていないような者たちのため、アンドレイは不安になる。ダメな者たちが協力してコンサートを成功さえようという雰囲気がまったく感じられない作品だ。

突如呼び集めたメンバーたちが強烈に面白い。本当に元ボリショイのメンバーか?と思うような者たちばかりだ。中国の違法な携帯電話をパリで売りさばこうとする者。ロシアから持ち込んだキャビアをレストランに売り込む男。勝手に引越屋を始めてしまう男。オーケストラのマネージャーは、政治的な目的のため、パリで共産党員たちへの演説をしようとする。

まったくコンサートを成功させる気がない。団体行動をせずリハーサルにも参加しない。コンサートの失敗は目に見えている状態だ。

ここでパターンとして皆が一致団結する何かが必要だ。本作では元コンサートマスターの娘が、同じくコンサートマスターとして参加し、オーケストラのメンバーが昔を思い出すことから一致団結する。最初は不揃いな演奏が、最後には感動的な演奏となる。

やはりこの手の音楽系作品はラストが肝だ。今までのはちゃめちゃな状況から一変、その後の成功描写をバックに演奏するチャイコフスキーには、思わず鳥肌が立ってしまう。見た目はボロボロだが音楽はすばらしい。まさに感動のラストだ。

なにげなく挟まれるコメディ要素が良い刺激になっている。



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