のんちゃんのり弁


 2017.6.14      子持ちの30女の自立は難しい 【のんちゃんのり弁】

                     
のんちゃんのり弁 [ 小西真奈美 ]
評価:3

■ヒトコト感想
ダメ亭主に離婚届けを突きつけ、子供を連れて実家に帰ってきた小巻。30過ぎでなんのとり得もない女が自立することに苦労する物語だ。小巻は子供とふたりで自立した生活をするために働くことにした。時給の良い仕事はない。誰でもできるバイトか水商売しかない。しょうがなく働いた水商売で痛い目をみて…。

子供に弁当を作ることが得意な小巻が、四苦八苦しながら弁当屋を始める物語。地元で好きだった同級生と再会し、小料理屋の料理に感動して弟子入りしたりとかなり小巻はアグレッシブだ。ダメ亭主が子供を取り戻しにきたり、同級生と良い感じになりそうになったり。山あり谷ありでも逞しく生きる30過ぎの主婦の人生が描かれている。

■ストーリー
下町を舞台に懸命に生きる人の姿を描いた、明日へ歩き出せるハートフルムービー!ダメ亭主に愛想を尽かし、娘を連れて実家の京島に出戻った永井小巻。仕事がみつからず困っていた時、娘のために作ったのり弁が評判を呼び、彼女はお弁当屋を開くことを決意するのだが…。

■感想
子供を連れて実家に戻ってきた30過ぎの女・小巻。自立するために働こうとするのだが、うまくいかない。小巻が希望する収入を得るためには、何か特技が必要になる。何もない小巻は厳しい現実を目の当たりにする。

30過ぎの主婦が、急に働こうとして月20万以上稼ぐのは至難の業だ。正社員として働くにも、普通の事務でなおかつ子供の送り迎えで時間制限がある。となると、不可能な要求だ。小巻は最後の手段として水商売にチャレンジするのだが…。30女が自立することの困難さが描かれている。

地元に帰ると学生時代に好きだった健夫君と再会することになる。そこでいい感じの雰囲気となる。田舎の嫁不足で健夫君の両親が、小巻と健夫の関係をうまくいかせようといろいろと気を使っているのが面白い。特にふたりの邪魔をしてしまった父親の表情は最高だ。

小巻自身もまんざらでもなく、このままダメ亭主と離婚して健夫君と再婚し健夫君と写真屋を一緒にやっていくのかと思いきや…。小巻は自立心が強いため、そこでひともんちゃくある。結局、健夫君は小巻を背負いきれないとあきらめてしまう。

ただの主婦が子供の弁当を作るのが得意だからといって弁当屋を始めるのはハードルが高い。そこで小巻は小料理屋で修業をし、弁当屋を始めようとするのだが…。小巻は何事にも前向きにとらえるタイプだが、なんでも自分の力でやろうとするため、八方ふさがりとなる。

人の好意を受け入れることなく、すべて自分の力で、と考える。何の後ろ盾もない主婦が自立するためには、多くの人の協力がなければ成り立たない。子供のことにしても、実家の母親が面倒見てくれているからなど、忘れがちな周りの協力を思い出させてくれる作品だ。

30女が自立するには、様々な困難があるとわかった。



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