ニューイヤーズ・イヴ


 2016.11.13      自分の寂しさが浮き彫りになる 【ニューイヤーズ・イヴ】

                     


■ヒトコト感想
新年の前、大晦日をニューイヤーズ・イヴと言うらしい。年越しのカウントダウンを目前に浮足立つニューヨークの人々。NYで巻き起こる様々な出来事を微妙にそれぞれが繋がりながら描かれている。新年最初の子供に賞金がもらえると知り、意地でも新年最初に子供を産もうとするカップルたち。死期の迫った老人。大晦日にどこに行くあてもない孤独な女性。

大晦日、故障したエレベータで見ず知らずの男と二人っきりとなる歌手の女。どことなく華やかな日常とは別に、さみしげな雰囲気を漂わせる者たちが描かれている。世間がどれだけ浮かれようと、自分はどこかさみしい。周りが浮かれれば浮かれるほど、自分のさみしさや辛さが浮き彫りになる。ラストで皆、どこか楽しげにしているのが良い。

■ストーリー
一年で最も煌びやかになる街、大晦日のニューヨーク。行きかう人々の頭の中は、今宵の年越しのカウントダウンを、誰とどこで迎えるかでいっぱいだ。妹の結婚式に仲間とのパーティに、楽しい予定が詰まっているのに、心ここにあらずの男。去年の大晦日に出会った女性が忘れられないのだ。男が彼女と交わした、ある約束とは? 偶然の再会を果たす、かつて恋人同士だった男女。

別れたおかげで仕事に大成功を収めた二人の本当の気持ちとは? 死期の迫った孤独な老人。頑固な彼が秘かに思い出すのは、娘と迎えた幸せな大晦日。いったい父と娘に何があったのか―? ここに登場するのは、いつの間にか人との絆を失ってしまった者たち。彼らは一年の最後の日に、その大切さに気付き、なんとか絆を取り戻そうと奔走する。人間関係に、どこか不器用な人々が、素直になって心を開いて、懸命に想いを伝えようとする姿に、誰もが胸を揺さぶられずにはいられない。

■感想
大晦日のNY。年越しのカウントダウンが始まる前に、人々は様々な準備をする。大晦日に人々を楽しませるイベントには、必ず裏では汗をかきながらイベントを準備する人がいる。恋人との関係がうまくいっていないとしても、仕事をするしかない。

パーティーに参加したとしても、彼女のことを忘れることができない。人間関係に不器用な人が、心のどこかで助けを求めているようだ。新年を迎え、それらの人々の悩みや苦しみが最後にすっきりと良い方向へと流れていくようで、見ていて心地良い。

印象的なのは、大晦日にも関わらず何も予定がないおばさんの話だ。その年でやりたいことをリストにしていたが、何一つ達成できていない。そんな状態で自暴自棄になりかけていると、配達の兄ちゃんと偶然知り合い、その兄ちゃんにリストを全て達成させてくれたらパーティのチケットをあげると言う。

そこから、ふたりのリストを達成するための駆け足の行動が始まる。まるでローマの休日のように、スクーターに乗りながら、さまざまな体験をし、最後にはちょっとした感動がおしよせてくる。

出演している俳優たちがわりと豪華で、チョイ役にも関わらず有名人が登場していると、そこに目が行ってしまう。娘に厳しい母親役にサラ・ジェシカ・パーカーだったり、末期がん患者としてロバート・デ・ニーロがでていたり、看護士にハル・ベリーがいたり。

誰がメインというのはなく、それぞれのエピソードでそれぞれが主役となっている。NYを舞台にボール・ドロップなんていう華やかなイベントを舞台にしているだけに、その華やかさと寂しさがすさまじい対比となっている。

ほっこりとするラストが印象的だ。



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