猫侍


 2015.10.25      見た目とのギャップの面白さ 【猫侍】

                     


■ヒトコト感想

強面で常に眉間に深いしわを刻んだ表情をする侍・斑目久太郎。傘張りの内職で食いつないではいるが、剣の腕前はすさまじい男。久太郎の剣の腕を見込んだ者たちから、対立する猫派の一家の猫を殺害してくれという依頼が入る。最初は渋っていた久太郎だが金の力に負けて依頼を受けるのだが…。怖い顔の侍が猫にデレデレするシーンは笑いがでてくる。

可愛らしい猫と怖い顔の侍のミスマッチが本作のすべてだろう。猫派だけでなく犬派まで登場し、どちらも犬と猫を暗殺しようとする。それぞれを守る用心棒の存在や、猫の世話をする係りの女の子など、久太郎の周りには様々な人物が登場し、絡んでいくすべての人物が久太郎の表情を見て一瞬、あまりの恐怖に怯むのが面白い。

■ストーリー

時は江戸時代。かつて百人斬りと恐れられた剣豪・斑目久太郎は仕官が叶わず、傘張りの内職で食いつないでいた。ある日、彼が暮らす貧乏長屋に、犬をこよなく愛する「犬派」の米沢一家が、敵対する「猫派」の相川一家の親分の飼う「猫」の暗殺を依頼しにきた。

大金につられ引き受けた久太郎だったが、その白猫・玉之丞のつぶらな瞳に見つめられるや否や、彼の目尻はデレぇ~。“まだら鬼"の異名を持つコワモテの剣豪が、うっかり“癒し"を知ってしまった瞬間だった!

■感想
怖い顔の侍が、猫を抱き、その癒しに心が和む場面が本作のすべてだろう。恐ろしい表情ですさまじい剣の腕を持つ侍。無口で相手をひと睨みすると、たちまち相手はその恐怖に体が竦んでしまう。そんな侍が猫を暗殺しようと屋敷に忍び込むのだが、あまりの可愛さに猫を殺すことができない。

さらには、猫を連れ帰り、癒しを満喫する。恐怖の侍と猫。そのミスマッチの面白さと、猫を必死に探す者たちや、逆に犬をひたすらかわいがる者たちなど、極端な描かれ方をしているのが強烈な対比なっている。

犬派と猫派の戦い。そして、適当に仕事をこなす用心棒との絡み。すべてがユーモラスに描かれている。久太郎がすばらしいまでの剣の腕を持っていながら、人を切ることができなくなった原因は何かや、親の仇を討つために勝てない相手に挑み続ける男など、シリアスな場面と思わしき部分はある。

が、それも一瞬で終わり、すぐさまコメディたっちな雰囲気となる。顔が怖いのに猫が好き。べつに顔は関係ないのだが、顔が怖い人は見た目に合せてドーベルマンなんかを飼っているべきと勝手に思ってしまう。

久太郎は常に眉間に深々としわを作り、人をにらみつける。それでいて表情を変えることなく、心の中で猫の可愛さを絶賛する。その表情と内面のギャップもまた面白い。ヤクザが可愛らしい猫を抱いているようなイメージだろう。強面の侍が可愛らしい猫を抱いている。

それだけで笑いがでてくる。すでに最初にオチが決まっているような流れなので、他の要素はあまり必要ないのだろう。強烈なインパクトはないのだが、ギャップの面白さが常に付きまとうので、この手の作品が好きな人にはたまらない流れだろう。

ひとつのパターンで最後まで引っ張る強引さが良い。



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