むこうぶち


 2017.2.1      麻雀のルールを知らないと辛い 【むこうぶち】

                     
評価:2

■ヒトコト感想
原作マンガは未読。裏麻雀の世界を描いた作品。といっても主人公の傀を描いた作品ではなく、傀に裏麻雀で身ぐるみはがされる側を描いた作品だ。工場の経営者が資金繰りに苦しみ借金苦から裏麻雀で金を稼ごうとする。賭け麻雀を主宰するヤクザ側があべこべに傀に身ぐるみはがされる。狂言回し役としてプロ雀士が傍らにおり、傀のとてつもない麻雀を解説する。

ツキに見放された男たちの悲しみや、どうにも身動きできないつらさが強烈だ。ただ、基本的には麻雀のルールを知らなければ楽しめない。麻雀での駆け引きの楽しさを知らないと、傀が捨てた牌にどのような意味があり、相手はどういった意図でこの牌を捨てたのかがわからないとつらい。ありえない牌であがる傀の迫力は強烈だ。

■ストーリー
バブル絶頂の80年代。裏麻雀界に「人鬼」と呼ばれる強者・傀が現れた。彼の類稀なる強さに多くの雀士が翻弄され、「御無礼」の声と共に姿を消していく。

■感想
いかにも劇画チックなマンガが原作だろうと想像できる作品だ。麻雀をテーマにした漫画はオジサンが読むイメージがある。本作の原作マンガはそれなりに売れているらしい。映像作品としては、非常に見る人を選ぶ作品だ。まず麻雀を理解していなければ話にならない。

ある程度手を理解し、”鳴く”ことにどのような意味があるのか。そして、役の内容も知らなければならない。麻雀を知っていれば、作中で展開されている麻雀の特殊さを理解できるだろう。麻雀を知らなければ楽しめない作品だ。

工場の経営者である男が裏麻雀で大当たりしていた。資金繰りに苦しんだあげく、資金を裏麻雀で稼ごうとする。最初は勝ち続けていたが、傀が登場してくると雲行きが怪しくなる。傀にツキをすべて持っていかれ、ジリ貧となる。

そして、トイチの町金に金を借りたのが運のつき。再び傀と麻雀で対決するのだが、大負けしてしまう。工場跡地が土地として1億の価値があるにも関わらず、借金が1億にものぼり、最終的にはどうにもならなくなる。裏麻雀に嵌った者の末路が描かれている。

裏麻雀を仕切るヤクザと傀の対決もある。最初は傀をカモと考えていたヤクザだちも、次第に傀にやられていく。痛快なのは、ヤクザは最初は小さな勝ちを続けるが、後半になるにつれ傀が勝ち始め、ヤクザ側が賭け率を上げていく場面だ。

負けを取り戻そうと必死に賭け率を上げる。そして、最終的にはすべてを賭けた一局で、傀の捨て牌を見て確実に通ると思われた牌で傀が上がる。これほど強烈なものはない。ヤクザのアジトで賭け麻雀をし、相手をすっからかんにしても、なお平然な顔をして部屋をでていく傀。この強心臓がすばらしい。

無造作に紙の袋に現金を入れて持ち運ぶのがまた良い。



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