みんな元気。 


 2017.7.11      相変わらずのぶっ飛んだ物語 【みんな元気。】

                     
みんな元気。[ 舞城王太郎 ]
評価:2
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■ヒトコト感想
表題作でもある「みんな元気」はそれなりに衝撃的だが、いつもの舞城王太郎作品と言えばそれだけだ。眠りながら浮かんでいた妹が、空飛ぶ一家に連れ去られることから始まる。最初はちょっと変わった学園物語風かと思いきや…。

後半ではイトウタカコという名前の女性が次々と何かに飲み込まれていく事件や、謎の首切り事件などいつもの舞城王太郎の流れとなっている。いつの間にかミステリーであったり、枝ばさみで首を切ったり、空飛ぶ一家との対決があったり。なんだかヘンテコな流れになり、ごちゃごちゃとして終わる。ストーリーはあってないようなもの。はちゃめちゃな流れのまま、なんの説明もなく終わっていく作品だ。

■ストーリー
夜中に目覚めると、隣の姉が眠りながら浮かんでいた――。あの日から本当に色んなことが起きた。竜巻が私たちの町を襲い、妹の朝ちゃんは空飛ぶ一家に連れさられてしまう。彼らは家族の交換に来たのだった(表題作)。西暁町で繰り返される山火事と殺人の謎(「矢を止める五羽の梔鳥」)。単行本『みんな元気。』から3篇をセレクト。21世紀旗手による、〈愛と選択〉の短篇集。

■感想
表題作でもある「みんな元気。」は衝撃的だ。というか、舞城王太郎の作品はこんな感じだったなぁと読みながら思い出した。普通の家族の物語かと思いきや、突飛な設定がひとつ存在し、そこから良くわからないまま妹が誘拐され、別の男が家族となる。

そこからちょっと変わった少女の日常が描かれるが、突如として連続殺人事件の話が始まる。同じ名前の女ばかりが死ぬから注意せよという流れの中で物語が進み、最後にはミステリーなのかなんなのかよくわからなくなる。

ヘンテコな残虐描写が登場するのも特徴だ。夢の中なのか何なのか。枝切りばさみで腕を切られたり首を切られたり。家族が瀕死の重傷を負おうが、それでもごちゃごちゃとした家族の話は永遠と続くことになる。

家族の交換の話から、殺人事件、そしてミステリーへと続き、最後にはなんだかよくわからない暗号の話となっている。タイトルに続く流れというのは、それなりにあるのかもしれないが、本作は舞城王太郎作品であるというのを読んでいてまざまざと感じてしまった。

その他の2つの短編についても、いつもの作者の雰囲気そのままだ。福井や西暁など、いつもの特殊なローカルネタが続き、あからさまな方言を使う。そして内容はというと、はちゃめちゃミステリーがひたすら続くだけだ。どう読んでも整合性があるように思えない。

ある程度パターン化されてはいるのだが、正直印象に残らない。作者の作品をそれなりに読んでいると、どれがどれだかよくわからなくなる可能性がある。特に短編の場合は、強烈でありながらすぐに終わってしまうからだ。

やはり舞城王太郎の作品は安定した?ぶっ飛び感がある。



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