2017.6.11 想像以上に素朴で昭和だ 【耳をすませば】
耳をすませば [ 本名陽子 ]
評価:3
■ヒトコト感想
なつかしのジブリ作品。初めて見るのだが、想像以上に少女マンガ風だった。少女マンガが原作なので当然なのだが、ジブリ作品で少女マンガというイメージがないので驚いた。かなり古い作品だというのはわかっていたが、時代設定が想像以上だった。狭い団地にコンビニや携帯がない日本。今見ると非常に素朴な印象を受ける。
今の子供たちが本作を見るとどんな印象をもつだろうか。キラキラとした恋愛というより、少年少女の初々しい恋愛だ。雫の両親や姉にしても、今の感覚でいうとちょっと変わっているかもしれない。ジブリらしいファンタジーあふれる展開は良い。ジブリが大ブレイクする前の作品なので、商業主義に媚びていない感じがした。
■ストーリー
月島雫は、明るく読書好きな女の子。中学3年になって、周りは皆受験勉強で一生懸命なのに、いつも学校の図書館や市立図書館で本を読みふけっていた。雫はある日、図書館の貸し出しカードに「天沢聖司」という名前を発見する。雫が読む本には必ずといっていいほどその名前があった。やがて、雫はひとりの少年と出会う。中学を卒業したらイタリアへ渡って、ヴァイオリン職人の修行をしようと決意している少年。
その少年こそが「天沢聖司」であった。雫は聖司に惹かれながらも、将来の進路や未来、そして自分の才能にもコンプレックスと焦りを感じていた。やがて、雫は聖司の生き方に強く心を動かされ、聖司の祖父・西老人が経営する不思議なアンティークショップ「地球屋」にあった猫人形「バロン」を主人公にした物語を書き始めるのだった…。
■感想
かなり古い作品で、少女マンガが原作ということでジブリらしくない作品と感じた。自分がイメージするジブリ作品は、大ブレイクした「もののけ姫」だとか「千と千尋」だとかだ。それと比べると、少年少女の初々しい恋愛模様を、ファンタジーを絡めながら描いているのは意外だ。
中学生の雫がひとりの少年に恋をする。最初は図書カードで良く見る名前ということでのイメージから、少しずつ惹かれていく。ヴァイオリン職人になりたいという少年の夢を尊重しつつ、離れることが辛い雫。大人びているようで真は子供だ。
中学生女子が自分の将来や才能に対するコンプレックスから焦りを感じ、迷走しだす。雫がバロンを主人公に小説を書き始める。その際の集中具合がすさまじい。勉強もそっちのけでひたすら小説を書き続ける。この集中力がどこからきているのか。
聖司に対する恋心からか、中学生離れしたパワーを感じてしまう。そして、今の中学生と比べると素朴さがすさまじい。雫の友達もそうだが、男に対しての免疫というか、極端に男女間に溝がある。それは、近づきたいのに近づきたくないという、わかりやすい展開なのだが…。
強く印象に残っているのは、昭和の雰囲気を感じさせる世界観と、雫の父親の不自然な棒読みだ。世界観については、原作マンガが描かれた時代のリアルだと言われれば納得してしまう。雫の父親の声を立花隆が演じているのは強烈だ。
ジブリはたまに衝撃的な人物を声優に抜擢するが、昔からそうだったのだ。明らかに浮きまくっている。高橋一生が少年時代に聖司の声優をやっていたという驚き以上だ。物語のストーリーとは別の部分で、いちいちひっかかってしまった。
昔のジブリはこんな作品を作っていたのだと驚いた。
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