MILK 石田衣良


 2016.4.6      様々なカップルを描いた官能小説 【MILK】

                     
MILK [ 石田衣良 ]
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■ヒトコト感想
セックスレスや不倫などを描いた短編集。官能小説の部類に入るのだろう。物語のパターンとしては、セックスレス夫婦のどちらかが不倫をするというパターンと、歳の離れた者同士が、お互いに遠慮しながら体の関係を結ぶというパターンだ。作者は官能小説的な作品をいつくか描いているので、本作の内容にそれほど驚きはない。それでも、ひたすら官能短編小説を読まされていると、さすがに途中で飽きてしまう。

自分に置き換えて感情移入するというのは、またちょっと違った感じもする。刺激的であり、多少は興奮もするのだがワンパターンだ。純粋に作者のファンならば、作者らしいと思うだろう。IWGPシリーズが好きで本作を読んだとしたら、受け入れられないかもしれない。

■ストーリー

大人になっても不器用で、切実な欲望を持て余している―そんな男女におくる、この上なく熱く刺激的な作品集。誰もが当たり前に持つ欲望と、それが満たされるよろこび。刺激的で幸福なエロスを、軽やかに描き出した官能小説短篇集。

■感想
表題作でもある「MIKL」は青春時代の淡いイメージを思い出すような流れだ。中学時代に女性特有の塩をふった牛乳の匂いのする女性が気になっていた。成長した男は、久しぶりにその匂いを嗅ぎ…。青春時代の思い出というのは、美化される傾向にある。

が、久しぶりに懐かしい匂いを嗅ぎ、そこから昔を思い出すのは良い。さらに言えば性欲が旺盛な中学時代を思い出すのはかなり盛り上がるだろう。塩をふった牛乳の匂いと表現されてすぐに匂いが思い浮かばないが、女性特有のやわらかな良い匂いをイメージしてしまった。

「いれない」は、若い女の子と最後までしないという約束で付き合いつづける話だ。プラトニックとは違い、ペッティングはする。が、いれることはない。その状態は女性としては問題ないかもしれないが、男からすれば蛇の生殺し状態ではないだろうか。

どれだけ綺麗な人であっても、最後までしないという限定つきで付き合い続けることのメリットは…。作中ではそのあたり、最後までしないことで長続きしたというような記述がある。確かに、いつまでも新鮮な気持ち?にはなるのかもしれない。飽きることがないということなのか。

セックスレス夫婦の話や、お互いの性癖を赤裸々に語った結果、相手との趣味の違いが判明するなど、ドキっとするような話もある。自分が好むセックスのスタイルを、勇気をだして相手に伝えたとして、相手がそれを受け入れたとしても、それは一時的なもので、結局は性癖の違いに悩むと言うのはかなり深い話だ。

パートナーに特殊な性癖があるとアピールされたとして、それを全面的に受け入れるかどうかはわからない。もしかしたら、現実的に同じような悩みをもつカップルが普通にいるのかもしれない。

様々なカップルのパターンが描かれた官能小説だ。



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