マレフィセント


 2016.10.8      悪い魔女のイメージを覆す 【マレフィセント】

                     


■ヒトコト感想
「眠れぬ森の美女」をそもそもよく知らないが、悪い魔女が姫を眠らせて王子のキスで姫は目覚めるという程度の理解しかない。魔女マレフィセントを主人公にした本作。魔女はなぜ姫に呪いをかけたのか。マレフィセントと姫の関係はどうだったのか。魔女の意外な一面というか、魔女が実は良い人だった、なんてことにしてしまうと本家の物語がブレないだろうかと心配になってしまう。

オーソドックスに悪い魔女に呪いをかけられた美しい姫という図式がくるうと、子供たちは混乱しないだろうか。アンジェリーナ・ジョリーがマレフィセントとして強烈な存在感を放っている。ほほ骨が尖った風貌がいかにも悪い魔女のイメージにぴったりだ。

■ストーリー
ディズニー・アニメーションの金字塔として、半世紀以上も世界中で愛され続けている『眠れる森の美女』。『マレフィセント』は、そこに隠されていた誰も知らない“本当の物語"をドラマティックに描き出した、“永遠の眠り"の呪いが生んだ究極の愛の物語。

■感想
悪い魔女が実は良い魔女だった。オーロラ姫に呪いをかけたのには理由がある。なんだか童話の内容がぶれてしまうような展開であることは間違いない。そもそもマレフィセントは良い魔女で人間とも仲良く暮らしていた。

そこに人間が自分の私利私欲のためにマレフィセントの翼を奪い取ったため、マレフィセントの恨みをかうことに。すべての元凶は人間の王ということになる。自分の悪行により娘に呪いをかけられたにも関わらず、マレフィセントへ軍隊を送り込み殺そうとする。とんでもない王だ。

本作の悪人はただひとり、王ということになっている。マレフィセントやオーロラ姫はその被害者という位置づけだ。本作の主役はマレフィセントのため、当然ながらマレフィセントは実は良い魔女だという流れとなる。姫と魔女の交流。いつの間にかオーロラ姫を大切に感じるマレフィセント。

自業自得だが、自分がかけた呪いが強力すぎてマレフィセントですら姫への呪いを解くことができない。悲しげな表情が魔女にはよく似合う。王子のキスになんの効果もないのが、子供たちの夢を壊しているような気がしてならない。

マレフィセントを演じるアンジェリーナ・ジョリーがすさまじい個性を放っている。ほほ骨を強調したメイクで、いかにも恐ろしい魔女風だ。が、姫を見る視線は優しいわが子を見る視線へと様変わりする。人間たちに攻撃され姫を守るために奮闘する姿は、すでに悪い魔女の面影はない。

いつの間にかマレフィセントは正義の魔女と化している。魔女が従えるカラスもまた王子よりもイケメンでキャラ立ちしている。本家の内容を根底から覆すような流れではあるが面白い。

子供が見てどのような感想をもつのか知りたい。



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