前橋ビジュアル系


 2016.9.17      ネギを抜きながらのビジュアル系バンド 【前橋ビジュアル系】

                     


■ヒトコト感想
群馬でも前橋あたりではそれなりに栄えていると思うのだが…。本作ではあくまでも前橋の奥地で農業をするような男たちが、ビジュアル系バンドを組んで活動するという部分に面白さがある。化粧をし髪を立ててバンド活動をしたかと思うと、次の瞬間には作業服を着て首にタオルを巻きネギを抜く。そのギャップに面白さが見いだせなければ、本作は楽しめないだろう。

売れないバンドの常として、解散問題がある。本作もお決まり通りその流れとなる。農家を継ぐのかバンド活動を続けるのか。親のことで悩んだり、売れないことに苦しんだり。根本の問題は何も解決されないまま、前橋で今までどおりバンド活動を続ける!という流れで終わっている。結局何が言いたいのかよくわからない。

■ストーリー
この田舎を飛び出して、ぜったいプロのミュージシャンになってやる!若者たちは夢を追いながら、ねぎ畑を走った!? 群馬県前橋の田舎町を舞台に、ヴィジュアル系バンドでプロになって有名になりたい夢を持つ農家の青年たちの夢と現実の葛藤を描いた青春ドラマ。

■感想
田舎で農業にいそしみネギを抜く。かと思うと、小さなライブハウスで少数の客の前でビジュアル系バンドとして活動する。どちらが本業なのか。本人たちは当然のごとくバンド活動に力を入れている。が、結局のところ食うためには農業をするしかない。

周りからは農業に本腰を入れろと言われる。どこにでもある普通のバンドマンの話なのかもしれない。決定的に違うのは前橋を舞台にしており、田舎ということを全面に押し出しているということだ。ビジュアル系と言いつつも、群馬の田舎。このギャップが面白いのだろう。

夢と現実の差に苦悩するのは青春の特権だろう。ただ、それをいつまで引きずるのか。30をまじかに控えた者たちにとっては、実家の農業を継ぐのはごく普通の流れなのかもしれない。バンド「プリンシパル」のリーダーが脱退する。理由は親が怪我をしたため、農業に本腰を入れたいから。

誰もが先があるとは思っていないとしても、「いちぬけた」と言われると困惑しないわけがない。主人公の男も、バンドとしてビックになることを夢見ていたとしても、現実になるとは思ってない。この苦悩が面白おかしく描かれている。

ラストチャンスとしてフランスに招かれたりもする。HPを見た海外のファンから熱烈な人気を得ており、そこからフランスでライブをすることに…。なんだか胡散臭い流れで、フランスに行くというのが何かのきっかけになるのでは?と離れていた仲間も集い始める。

ずいぶんと都合の良い流れだ。夢を諦めるのは簡単だが、夢を持ち続けるのは難しい。この当たり前のことをわかっていながら、なおかつフラフラとどっちつかずの状態を続けている。結末に関しても、結局のところ今までとなんら変わらないように思えてしまう。

農業とビジュアル系バンド。対極にあるものだけに、融合すると面白い。



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