窓の魚  


 2017.2.12      心がザワザワする2組のカップル 【窓の魚】

                     
評価:3
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■ヒトコト感想
ナツ、アキオ、ハルナ、トウヤマの四人の男女が温泉宿で一夜を過ごす。ナツとアキオ、ハルナとトウヤマのカップルがダブルデートのような形で夜を過ごす。ナツ、トウヤマ、ハルナ、アキオの順で同じ出来事をそれぞれの視点で語られている。そのため、ナツのパートでいくつか疑問が浮かび上がるが、それはハルナやトウヤマのパートで解決される。

並行して奇妙な事件が発生し、その被害者がさも四人の中の誰かなのでは?と思わせる流れがある。ミステリーなのか何なのか。恋愛小説ではないことは確かだ。ナツとアキオのカップルはセックスレスであり、アキオの体に問題があるような描かれ方をし、ハルナとトウヤマのカップルは、ハルナがなぜか金を持っていることが謎となっている。

■ストーリー
温泉宿で一夜を過ごす、2組の恋人たち。静かなナツ、優しいアキオ、可愛いハルナ、無関心なトウヤマ。裸の体で、秘密の心を抱える彼らはそれぞれに深刻な欠落を隠し合っていた。決して交わることなく、お互いを求め合う4人。そして翌朝、宿には一体の死体が残される──恋という得体の知れない感情を、これまでにないほど奥深く、冷静な筆致でとらえた、新たな恋愛小説の臨界点。

■感想
男二人、女二人で温泉宿で一夜を過ごす。それぞれのカップル同士が仲良く過ごす。一見すると幸せな二組のカップルだが、当然ながらそれぞれに問題はある。ナツはまったく手を出そうとしないアキオにうっすらと不安感を感じており、何かとアキオの態度にビクビクしたりもする。

ハルナは美しいトウヤマに惹かれセックスをするが、どこか心の中で満たされないものがある。トウヤマはハルナを適当な相手と考えているが、ハルナが常に大金をもっていることを疑問に思う。お互いがお互いに対して信頼がもてない状態となっている。

四人が泊まる温泉宿で池に浮かぶ謎の死体が登場してくる。この死体は何なのか。四人以外の第三者が語る。このことにより、四人が事件に関係しているのか最後までわからなくなる。もしかすると、二人の女のうち、どちらかひとりが死体なのでは?とも思ったりもする。

ハルナとナツの関係も腹を割って話をするのではなく、どことなくお互いをけん制している。アキオとトウヤマも、アキオからするとトウヤマがナツと寝ているのでは?なんてことを考えたりもする。疑心暗鬼が晴れることのない関係性だ。

アキオのパートで様々な謎が解ける。アキオがインポである原因が語られ、ハルナが大金を手にしている理由も語られている。また、ナツが意識朦朧となる理由もはっきりしてくる。それらの謎が少しずつ解けていくのは爽快だ。が、死体の謎についてはよくわからないまま終わっている。

トウヤマの電話相手が関係しているのか。何かしらにおわす記述はあるのだが、はっきりとしたオチは描かれていない。この情緒不安定な四人の物語は、読んでいて不安になる。読み終わっても心がざわざわした感じになる。

この不安感は何なのだろうか。



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