ロスト・アイズ


 2015.4.18      犯人は透明人間か? 【ロスト・アイズ】

                     


■ヒトコト感想

全盲の女性が自殺した。そこには何者かが関わっている描写がある。自殺したサラの双子の妹フリアもまた、視力が弱くなる。完全失明までにサラの死の原因を探ろうとするフリアの物語だ。主役が全盲だとしても、観衆からは何が起こっているかすべて見えている。ただ、巧みな演出と犯人目線での周りの視線の動きから、透明人間が犯人なのでは?と思わせる流れがある。

サラの自殺やフリアの夫の自殺など、正体不明の男の存在が疑われてくる。犯人と思わしき男が存在するが、なかなか顔を見せない。観衆は誰が犯人なのかという想像力を働かせることになる。犯人が判明しても特別な驚きはない。登場人物の多くが全盲というところがポイントなのかもしれない。

■ストーリー

角膜移植手術を終えたばかりの全盲の女性の首吊り死体が自宅地下室より発見された。自殺したサラの双子の妹・フリアは、姉の死に疑問を感じ、他殺ではないかと疑い始める。調べてゆくうちに、姉には「恋人」と思われる男性がいたらしい。しかし、誰しもが口をそろえて彼の顔を見たことがない、という。

姉の足跡をたどる先々でフリアの周りでも、正体の見えない不穏な人影がチラつき始める。そして、同時に彼女の視力もなくなりつつあった。徐々に闇に包まれていくフリア、完全失明までに彼女に残された時間は1ヶ月! フリアは姉と同じ状況に陥ってしまうのか! ?そして、犯人は確実にフリアに近づきつつあった…。

■感想
双子の妹サラの自殺を怪しみ、サラの恋人を探し始めるフリア。全盲のサラの恋人とはどのような人物なのか。調査の段階で、フリアにも失明の危険性があると判明する。まだ視力がかすかに残るフリアが探しだそうとする犯人は、透明人間のように思えてくる。

犯人目線のパートでは、まるで犯人が透明人間のような描き方をされている。誰も犯人に対して視線を向けず、気にしない。観衆は「インビシブル」的に透明な何者かが、サラを殺し、フリアに迫っているかのような印象を受ける。

フリアがサラと同様に、しだいに視力が弱まってくる。そこでフリアの生活をサポートする存在がおり、目が不自由となっても安定した生活を送り続けるフリア。ここで、フリアは目が見えないが、サラと同じように何者かが自分に襲い掛かるのを感じる。

サラやフリアの夫を自殺に追い込んだのは誰なのか?この段階では、まったく犯人の想像がつかない。ミステリーを見慣れている人ならば、ありえない人物を犯人として想像するのだが、それにあたる人物もいない。逆にそれは、突然登場する人物が犯人とういことになる。

犯人の顔が判明したとしても、そこに特別な印象はない。想像外の人物が犯人というわけではないので、特別な驚きはない。ただ犯人の異常な心理は伝わってきた。なぜフリアが犯人を透明人間だと思ったのか。犯人の思い込みがうまく物語として影響している。

ミステリーの要素が強いホラー映画といった感じだろうか。異常者の恐怖と、目が見えないことの恐怖が入り混じる。強烈なインパクトはないのだが、犯人についての興味はつきることはない。

盲目というのをうまく扱っている作品だ。



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