ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日


 2016.3.9      幻想的な映像がすばらしい 【ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日】

                     
ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 [ スラージ・シャルマ ]

■ヒトコト感想
すさまじい映像に圧倒される。海のど真ん中でトラと小さな船で漂流する青年の物語だ。貨物船が突然の嵐で転覆し、小さなボートにはトラと青年とシマウマやハイエナやオラウータンが乗り込む。最終的には青年以外はトラに食べられてしまう。トラと青年のふたりきりの漂流は様々な葛藤に満ちている。人間を襲おうとするトラと逃げる青年。

ボートから離れてボートの備品で小さな筏をつくり、そこで漂流する青年。水や食料を手にする方法や、トラから身を守る手段など状況の変化はめまぐるしい。ある場面ではトラがボートから海へ飛び込み、ボートへ戻れなくなる場面がある。そのまま放置しておけば、青年は安全なボートの上で過ごすことができるのだが…。非常に印象的な場面だ。

■ストーリー

1960年代初めのインド ポンディシェリで生まれた少年パイ・パテルは、父が経営する動物園で動物たちと触れ合いながら育つ。ところが、パイが16歳になった年、人生が一転する。両親がカナダ モントリオールに移住することを決め、家族と動物たちは貨物船でカナダへ向かうのだが、太平洋のど真ん中で突然の嵐に見舞われ沈没してしまう。

たった一人、救命ボートにしがみつき一命を取り留めたパイ。しかし、そのボートにはリチャード・パーカーと名付けられた凶暴なベンガルトラが身を潜めていたのだった……。小さなボートと僅かな非常食、そして一頭のトラ。果たしてトラは少年の命を奪うのか、それとも希望を与えるのか!? かくしてパイと一頭のトラとの227日にも及ぶ想像を絶する漂流生活が始まった。

■感想
動物園の動物たちと共にカナダへ向かう貨物船が沈没し、小さなボートで漂流することになるパイ。ボートで最終的に生き残るのがトラとパイのみ。ひとりと一匹のすさまじい漂流生活が、幻想的な映像と共に描かれている。小さなボートで周りには逃げ場のない海。

となるとパイはトラから身を守ることを考えなければならない。ボートに備え付けの非常用飲み水とビスケットで飢えをしのぐパイ。トラは魚を食べて飢えをしのいでいる。共存はできない関係で、パイは常にトラにおびえながら漂流するしかない。

トラとボートにいるのは危険なため、パイはボートの備品を集めて小さな筏をつくる。ボートの脇に筏で漂流するパイ。そこから巨大な嵐に巻き込まれる場面で、大きな転機が訪れる。生き残るためにトラと共にボートにもぐりこみ嵐をやりすごすパイ。

漂流中に巨大なクジラやトビウオの群れ、イルカなど幻想的な映像につつまれている。海のど真ん中での恐怖というのも伝わってくるのだが、なにより強烈なのは海中での映像美だろう。過酷な漂流生活が、ものすごく美しいものに早変わりしている。

漂流に疲弊したパイたちを救うのは途中で到着した謎の島だ。そこには昼の間だけ真水が存在し、ミーアキャットが大量に生息する場所だった。そこでパイとトラは英気をやしなう。謎の島の非現実的な映像は強烈なインパクトがある。大量のミーアキャットに囲まれながら幻想的な島を歩き回るパイ。

夜になれば水が酸化し、とたんに死の島に変貌するのだが、それすらも幻想的で美しい景色に見えてしまう。ガリガリに痩せたトラとパイ。無事、メキシコに漂着するのだが、そこでのトラの行動は、パイに対してまったく思い入れがないような行動なのだろう。

この幻想的な映像はすばらしい。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp