LIFE/ライフ


 2017.6.6      冴えない男の人生で一番大切なこと 【LIFE/ライフ】

                     
LIFE!/ライフ/ベン・スティラー[DVD]
評価:3.5

■ヒトコト感想
雑誌LIFEの写真管理の仕事をするウォルター。突如として会社が買収され、LIFE紙の最終号の表紙となるネガがないことに気づく。平凡な日常を過ごす男が、一大決心をしてネガを探す旅にでる。ウォルターがところどころで強烈な妄想の世界に入り込むのが面白い。ある時は、スパイダーマン風に買収先のボスと激しい戦いを繰り広げる。そしてまたある時は、映画のような恋愛をする。

すべてはウォルターの妄想で、現実はクビになる寸前の普通の男だ。ウォルターのネガ探しの旅はウォルターを変化させる。そしてそれは、ウォルターだけでなく観衆にまで伝染する。人生で一番大事なことは何か。ひとつのことを目的としてとことん突き詰める男のすばらしい生き様が描かれている。

■ストーリー
地下鉄に乗って雑誌「LIFE」の写真管理部に通勤しているウォルターは、何ひとつ変わりばえのない日々を繰り返している。彼の唯一の趣味は、虚しい現実から逃避して突飛な空想に浸ること。ある日、ライフ誌最終号の表紙を飾る大切な写真のネガがないことに気づいた彼は、一大決心をしてカメラマンを探す旅に出発する。そのありえないほど波瀾万丈の冒険の道のりは、彼の人生を一変させていくのだった……。

■感想
ウォルターが探し求めるネガはどのような物なのか。しがないサラリーマンであるウォルターが、一大決心してネガを探しに旅にでる。この旅がすさまじい。辺境写真家を探すことが目的なのだが、行先は人がほとんどいないようなヘンテコな場所ばかり。

へりから海の上のボートに飛び降りたり、鮫に食べられそうになったり、酒場で喧嘩に巻き込まれたり。それまでの平凡な人生では味わえない強烈な経験をするウォルター。恋愛サイトに書くプロフィールがないと嘆いていた男とは思えないほど強烈な人生だ。

ネガ探しの旅はすさまじく、アフガニスタンの高山にまで登ったりもする。そこで現地のガイドを雇ってバックパックを背負い探し回る。そして、ついにカメラマンを見つけ、ネガのありかを聞き出すのだが…。流れ的にこのままネガは見つからないのかと思った。

それまで、すばらしいと言い続けたネガ。写真として登場させるには相当ハードルが高い。そんな状況でウォルターの人間性が変わっていき、ぼんやりとした男が、無精ひげを生やした逞しい男に変貌している。

ラストは感動的だ。探し元めたネガを探しだし、買収先のボスに対してはっきりと言葉をぶつけ、そして颯爽と会社を去っていく。この時点ではネガの中身が何かはわからない。そして…。LIFEの最終号の表紙が画面に登場してくる。

LIFEを愛する者ということの表紙なのだが、妙に感動できる場面だ。それまでのウォルターの苦労と、LIFEへの熱い思いが描かれているだけに、より感動が倍増している。結局のところ、ウォルターがこの後どうなったのかはわからない。それでも、きっと幸せで充実した人生を送るだろうと想像できる。

冴えない男が中年になり成長していくすばらしい作品だ。



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