ラスト・ターゲット


 2016.1.15      本当の暗殺者はこうだ 【ラスト・ターゲット】

                     


■ヒトコト感想

孤高の暗殺者ジャックが最後の仕事をこなす。暗殺者ではあるが武器を作る技術にも長けているジャック。鉄を削り加工をし高性能な銃を作る。最後の依頼が銃を作ることであり、それで引退すると決意するのだが…。全体的に静かな流れだ。暗殺者モノだと、激しいドンパチやアクションをイメージするが本作は違う。

あくまでも静かに、一瞬の隙をついて撃つ。本当の暗殺とは本作のような感じなのだろう。素性を隠し一般人のふりをして生活し、証拠が残らないよう入念な細工をする。ジャックの用心深さと相まって、ラストの緊迫の対決シーンはしびれてしまう。お互いが隙をうかがいながら、結局は手を出すことができない。これこそが真の暗殺稼業のような気がした。

■ストーリー

ヨーロッパの裏社会では知らぬ者なき孤高の暗殺者ジャックは命を狙われ、イタリアの山岳地帯にある小さな町に身を隠す。町の人々とふれあい、そして恋に落ちたジャックは、次の仕事を最後に裏社会から引退することを決意する。その最後の標的ラスト・ターゲットとなる人物は―?

■感想
暗殺者ジャックが最後の仕事をしにイタリアへやってくる。小さな町に仕事でやってきたふりをして生活する。そこで出会う人々に癒され、そして恋に落ちる。裏社会での仕事をしつつ、ひとつの場所にとどまり恋をするなんてことは不可能なため苦悩するジャック。

暗殺者としての能力が高いということは、その正体が一部の人にしかバレておらず、証拠を残さないことにある。ジャックの用心深さが強烈に描かれており、そんな状況で自分の足かせにしかならない恋人をどうするのか。冒頭で恋人をあっさりと殺した場面があるだけに、この流れは強烈だ。

ジャックは暗殺の技術だけでなく高性能な銃を作る能力をもっている。そのため依頼される仕事は、相手の好みの銃を作ることだ。ひと知れずひっそりと銃を作るジャック。ここでも用心深く、周りから決して銃を作っているとは悟られないような仕掛けをしている。

全編通してジャックの用心深さがこれでもかと描かれている。そんな用心深いジャックが娼婦と恋に落ちる。悩み苦しみ、その娼婦すら自分を殺しにきた暗殺者ではないかと疑い始めるジャック。非常に複雑な状況におちいっている。

ラストの流れは秀逸だ。引退を決意しボスへ告げるジャック。その瞬間から命を狙われることになる。静かに相手とカフェで正対しているが、お互いが隙をうかがっている。なんでもないちょっとした空気の変化が伝わってくるようだ。

そして、最後にはジャックが作った銃に、ジャック自身が狙われることになる。ジャックは平穏な生活を手に入れることができるのか。派手な演出があるわけではない。落ち着いた世界の中でジョージ・クルーニーの渋さがジャックの心境にぴったりかもしれない。

本当の暗殺者とはジャックのような存在なのだろう。



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