ラスト・シャンハイ


 2017.10.10      にこやかな笑顔の中に恐ろしさがある 【ラスト・シャンハイ】

                     
ラスト・シャンハイ/チョウ・ユンファ/ホァン・シャオミン
評価:3

■ヒトコト感想
純朴な青年が、マフィアに見込まれ登りつめていく物語だ。小さな縄張り争いからボスに見込まれマフィアとしての地位を高めていくチェン。それと共に警察組織とも繋がりができ、チェンの権力は拡大していく。若いころのチェンと貫禄のでたチェンは、どちらも強烈なカリスマ性がある。チェンは巨大な権力を手に入れたとしても、次々と敵は現れてくる。

日本と戦争に突入した中国で、チェンは日本軍ににらまれることになる。チェンのかっこよさというか、人質をとられたとしてもぶれない信念がある。戦力的に勝てない相手だとしても、決してあきらめず一矢報いようとする。チェンの気概というか、上海で巻き起こるマフィアたちの波乱の人生が描かれている。

■ストーリー
20世紀初頭に暗躍した上海マフィ アの波乱万丈の半生を描く。1917年、雑貨店に勤めるチェンは美しい京劇研修生の隣人に想いを寄せる純朴な若者だった。しかしある夜、女性ボスと警察署長のトラブルに巻き込まれ、チェンは永遠に平和な時間を奪われてしまう。

■感想
純朴な青年チェンが、ひょんなことからマフィアの女ボスと警察署長のトラブルに巻き込まれ、そこからボスに見込まれ、チェンが登りつめていく。ただのチンピラだったチェンが、上海で暴力を使いながらも、ステップアップしていく。そして、ついにはボスの弟子だったチェンが、ボスと義兄弟のちぎりを結ぶことになる。

チェンが力をつければつけるほど、敵対する者たちもより巨大になっていく。若いころのチェンは純朴さの中に暴力的な部分も含んでいた。それが中年になると落ち着きの中に貫禄があふれている。

チェンの周りには、さまざまな人物がおり、それぞれが自分の利益のために動き出す。チェンと手を組んで力を付けてきた警察署長は、チェンを裏切り日本軍につく。その結果、チェンは一気に劣勢となり、そしてボスたちが囚われの身となる。

絶体絶命のチェンだが、表向きは日本軍の元に近づきつつ、反撃の隙を狙っている。チェンの渋い表情はすさまじい。目じりのしわでにこやかに微笑んでいるように見えるが、心の奥底では怒りの気持ちを隠している

チェンと日本の将校との、にこやかな中にひりつくような緊張感があふれる展開はすさまじい。心の奥底では何を考えているのかわからない。まさに化かし合いだ。圧倒的な力をもつ日本軍が、チェンたちを追いつめていく。ただ、それでもチェンたちは果敢に反撃する。

上海を舞台にしたチンピラの出世物語といえなくもない。最後には負けるとわかっている喧嘩でも、決して逃げずに果敢に立ち向かっている。ラストシーンはあえて印象的な死のシーンとしているのだろう。

チェンの笑いの表情には恐ろしさがある。



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