---

　2017.9.11 　　 　　殺し屋だろうと娘には弱い　【ラストミッション】

---

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
ラストミッション スペシャル・プライス [ ケヴィン・コスナー ]
評価：3

■ヒトコト感想
凄腕のCIAエージェントが余命わずかと宣告され、子供や家族との関係を取り戻そうとする物語。実際には病に利く薬を餌に殺しの仕事を請け負うことになる。凄腕の殺し屋の面と家族を大事にする両面がある。イーサンは主人公であり、娘や妻への気遣いを忘れない優しいパパとして存在し、殺しの腕がたつというのはわかる。

本作では、イーサンのように家族に隠れて殺し屋稼業を営む敵も存在し、イーサンがその敵の家族との交流の仕方を参考にするなど、ちょっとコメディ風な流れもある。娘にはからっきしだが、腕のたつエージェント。チンピラたちをあっという間に倒してしまうが、娘にはタジタジになる。このギャップが面白さのポイントなのだろう。

■ストーリー
余命わずかだと言い渡されたCIAエージェントイーサン(ケヴィン・コスナー)は、残された人生を家族と共に過ごすためパリに行く。 しかし、空白の時間はなかなか埋めることができず、思春期の娘ゾーイ(ヘイリー・スタインフェルド)との溝は深まるばかり。 そんな中、女エージェントのヴィヴィ(アンバー・ハード)が、病に効く試験薬を餌に現役最後の仕事を持ちかけてくる。

それは、凶悪で冷徹なテロリストを仕留めなければならないという史上最高に危険な仕事だった――。 果たして彼は、世界の危機を防ぎながら娘の信頼を勝ち取るという同時進行不可能な究極の<ラストミッション>を遂行することができるのか?!

■感想
残りわずかな命を家族と共に過ごすことを夢見る凄腕のエージェント。ただ、家族に隠れて活動していたため、娘は父親の存在をあまりよく思っていない。イーサンは病気についても家族には秘密にしている。そのため、娘の残酷な言葉がイーサンの心に突き刺さる。

すべてを理解している観衆からすると、ゾーイのイーサンに対する対応は厳しすぎると思わずにはいられない。イーサンまでとはいかないが、世間のお父さんたちは、娘の扱いに戸惑うことは間違いない。それが、凄腕の殺し屋だろうと同じことだ。

余命を伸ばす薬を条件に、新たな仕事がイーサンの元に舞い込んでくる。イーサンの殺し屋としての実力はすばらしい。あらゆる手段を用いて相手を始末する。熟練した技術というのを感じずにはいられない。殺し屋としての力がすばらしいだけに、娘にタジタジになる姿が滑稽に見えてくる。

秀逸なのは、敵組織の幹部のひとりが、家族に素性を隠していたと知ると、裏の仕事をしつつ、家族関係をうまくバランスをとるためにはどのようにすれば良いか、家にまで押しかけてしまう部分だ。

裏稼業の仕事をやり遂げながら娘との関係を修復する。非常に困難なミッションに挑戦するイーサン。タイトルのラストミッションというのがそれにあたるのだろう。娘が暴力からは何も生まれないと言ったとしても、父親としてはそう思うが、イーサンとしては反論したくなる。

表の顔と裏の顔を使い分けなければならない辛さと、家族を決して巻き込んではいけないという強い決意もある。イーサン役のケビン・コスナーが最高に良い味をだしている。娘に言い負かされ困惑する表情が秀逸だ。

どんな父親だろうと、娘に対してはどこか弱気になってしまうのだろう。