2016.7.17 狂信的な母親に育てられたキャリー 【キャリー】
キャリー改版 [ スティーヴン・キング ]
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■ヒトコト感想
狂信的な母親に、常に虐げられながら生活してきたキャリー。卑屈な少女へと成長し、スクールカーストの最下層に位置する。まずキャリーの境遇には同情せざるお得ない。学校でイジメにあい、常に他者からさげすまれる存在となる。ただ、それよりも狂信的な母親の存在に悲しみを覚えてしまう。キャリーが生まれたことが間違いと考え、性的関係を結ぶことを悪と考える女。
キャリーに生理がきたことについても、怒りをあらわにする。こんな母親が存在するのだろうか。作中では、キャリーの容姿については語られていない。が、パーティーで着飾り周りの目を引くという描写から、それなりに美しい容姿であることは間違いないのだろう。母親の存在がキャリーを卑屈にしている。
■ストーリー
「おまえは悪魔の申し子だよ」狂信的な母、スクールカーストの最下層…悲劇はその夜、訪れた。巨匠キングの鮮烈なるデビュー作にして、三度の映画化を経た永遠の名作。
■感想
スクールカーストで最下層に位置する少女キャリー。なぜキャリーがクラスメイトから虐げられるのかの発端は描かれていない。が、キャリーの母親に問題があることは間違いないだろう。狂信的な母親。生命の営みについてさえ、否定してかかる女。キャリーを妊娠し生んだことを後悔し、キャリーを身ごもる行為自体に嫌悪感を示す。
こんな母親が存在するのかと疑問に思えるほど、狂信的で自分勝手な母親だ。そんな母親に育てられたため、キャリーは一般的な常識とはかけ離れた生活をし、生理のことを知らないなど、クラスメイトからイジメにあうことになる。
キャリーの状況は同情に値するが、クラスメイトたちにも違和感を覚えてしまう。キャリーをイジメたことを後悔し、その償いとして自分のパートナーをキャリーにあてがいカップルに仕立て上げる女。そして、それをあっさりと受け入れる男。
アメリカでのパーティが重要視されるのはわかるが、そこでパートナーを人に貸すなんてことに違和感がある。さらには最下層に位置するキャリーに対する明らかなる同情心であるが、キャリーがそれを受けいれるのも違和感を覚えた。
キャリーが特殊能力をもち、ラストに向かって悲しげな結末しか想像できない流れはすさまじい。町の人々の証言から浮かび上がる状況。パーティの盛り上がりが最高潮に達した時に、キャリーへ降りかかる悲劇。そして、キャリーの暴発する特殊能力。
それまで特別にキャリーの能力の恐ろしさが描写されていたわけではないので、唐突感は強い。が、キャリーの不幸な生い立ちを考えると、それも納得してしまう力がある。どことなく、他のスティーブン・キング作品の原点になるような流れが多々あるのが印象的だ。
キャリーの境遇は同情せざるお得ない。
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