クロユリ団地


 2016.6.18      後半はハリウッド的ホラーだ 【クロユリ団地】

                     
クロユリ団地 スタンダード・エディション/邦画

■ヒトコト感想
ジャパニーズホラー。古ぼけた団地というだけでなんだか怖い印象がある。介護士を目指す明日香はクロユリ団地に家族と共に引っ越してきた。そこで隣人が奇妙なことに気づく…。隣に住む老人が実は3日も前から孤独死していた。ただでさえ古ぼけて恐ろしい団地に、いわくありげな噂があれば、否が応でも強烈な印象がある。

物語の流れとしては、隣の老人が恐怖の元凶かと思いきや、真の原因は別にある。明日香の家族のことや、過去の出来事など、遺品整理の若者の助けを借りて逃げ出せるかと思いきや…。なんとも後味の悪いバッドエンディングだ。後半からは、ひたすら恐怖の元凶をそのまま表現し、まるでハリウッドホラーのような印象だ。

■ストーリー

毒々しい色の花に囲まれたクロユリ団地。近隣の人々の間では「出る」と噂されるいわくつきのこの団地に、介護士を目指す二宮明日香が何も知らずに家族と共に越してきた。数日後、明日香は隣室に住むひとり暮らしの老人が孤独死しているのを発見。さらに、団地で出会った寂しげな少年・ミノルとの交流から、次々と不可解な出来事に巻き込まれてゆく。それは、彼女が味わう恐怖の幕開けに過ぎなかった…

■感想
いわくつきの古ぼけた団地。古い団地というだけで妙な恐ろしさがある。間取りが古臭く、部屋が狭くどこか辛気臭い。隣に怪しげな老人が住み着き、地元民からは「出る」と噂される団地。そんなクロユリ団地に住む明日香は、介護士を目指して勉強中。

ジャパニーズホラーとしての怖さはある。何が怖いのか、恐怖の元凶を見せることなく、雰囲気だけで恐怖を演出している。序盤から中盤にかけてはまさに日本に古くからある様式を踏襲した正統派な怖さがある。

中盤に、隣に住む老人が3日前に孤独死していたことがわかる。そこから恐怖はエスカレートしていく。孤独死した老人の呪いなのかそれとも…。精神に異常をきたした明日香。このあたりから、明日香自身に何か異常があるのでは?と思えてくる。

家族と幸せな生活をおくる明日香だが、実は…。ありがちなパターンではある。明日香を助ける役目として、遺品整理の青年が登場してくる。何かと明日香を助けるのだが、恐怖の元凶がその正体を現したとき、青年は…。

後半はまさにハリウッド的ホラーに成り下がっている。恐怖の元凶そのものが悪魔的な行動をとり、人々を恐怖のどん底に叩き落とす。雰囲気の怖さを演出していたはずが、いつのまにか恐怖そのものが目の前に現れ危害を加えてくる。

呪いや恐怖心は見えないからこそ、いろいろと想像し、隣の部屋にいるのでは?という想像力が恐怖心を倍増させている。それが、恐怖の元凶そのものの姿がでてしまうと、これ以上の恐怖はないと、なんだか妙に安心してしまう。

ラストは当然のようにバッドエンディングとなる。



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