この話、続けてもいいですか  


 2017.3.9      一風変わった作者の生活ぶり 【この話、続けてもいいですか】

                     
評価:3
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■ヒトコト感想
西加奈子の初エッセイ集。テヘラン生まれで大阪育ち。言葉が関西弁でエッセイはユーモアにあふれている。作者はちょっと変わった人だというのがわかる。酒が好きでべろべろに酔っぱらいはじける。そして、結婚願望はある。作者の趣味というか笑いのツボだとかネタがわりと自分と被るので読んでいて楽しくなる。

プロレスネタだとか、少年ジャンプのネタだとか。小説作品からは想像できない、一風変わった作者の生活ぶりが明らかとなる。作者の小説に登場してくるちょっと変わったキャラクターたちは、もしかしたら作者の身近にいる人をモデルにしているのでは?なんてことを想像しながら読むと楽しいかもしれない。西加奈子ファンならば外せない作品だろう。

■ストーリー
テヘランで生まれカイロと大阪で育った著者が、小説の舞台となった大阪のこと、いろんな人との関わり、日々の生活で思ったこと、こだわること、などを縦横無尽に語る。『ミッキーかしまし』『ミッキーたくまし』をテーマ別に整理しなおし1冊にまとめた、著者唯一のエッセイ集。世界とのかかわり方、楽しみ方、その存在の強度が圧巻。

■感想
西加奈子がテヘラン生まれということに驚いた。が、そんな驚きを見越して、いろいろと説明が書かれている。とりあえずどこかの企業の海外駐在員として親が働いていたらしい。そこから大阪で育ち、関西弁でエッセイを語る。底抜けに酒が好きで酔うとむちゃくちゃ陽気になる。

周りの友達も同じく酒好きで激しい飲み方をしている。となると、当然酒の上での失敗や面白エピソードが語られることになる。驚くようなエピソードではないが、作者の小説作品からは連想できないような酒好き具合だ。

どうやらプロレスや少年ジャンプが好きらしい。というか、あちこちにちりばめられているネタが微妙に古く、自分と面白いと思う感覚がぴったりとくる。テリーマンが新幹線を止めるだとか、プロレスラーの淵なんていうのが登場してくる。

はたして読者はどれだけネタに気づいているだろうか。大阪人なので、あちこちにこれらのネタがちりばめられている。さらには実話なのだろうが、作者の友達がかなり特殊なので、それだけでエッセイとして楽しくなる。

小説家のイメージとしては、家に引きこもり文章を書き続け、日々のニュースに自分の意見を言うエッセイかと思っていた。本作では作者の日記のように、メインは外での出来事が多い。村上春樹のように規則正しい生活で小説を書いているわけでもない。

というか、エッセイを読んで小説家だというイメージはまったくわいてこない。いつ小説を書いているのか?と思うほど、小説以外のエピソードばかりだ。唯一、編集者との打合せがあるので、作家なのだろうということはわかる。

初エッセイ集なだけに、ファンならば外せない作品だろう。



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