恋のクリスマス大作戦


 2016.2.29      金の力で家族をレンタル 【恋のクリスマス大作戦】

                     
恋のクリスマス大作戦

■ヒトコト感想
アメリカのクリスマスは日本で言うところの正月のような感覚なのだろう。家族水入らずで過ごす日。ひとりっきりで過ごすなどありえない。そんな状況で、青年実業家のドリューはひとりでのクリスマスを避けるために…。子供のころに住んだ家を訪ね、そこに住んでいる家族を疑似家族としてレンタルする。むちゃくちゃな発想だが、大金に目がくらんだ家族たちは、それを受け入れることになる。

家族で過ごすクリスマスというのが、かなり大掛かりなのはアメリカらしい。クリスマスツリーを用意するために本物の木を使うなんて…。赤の他人とクリスマスを過ごす苦痛よりも金を選んだ家族。ただ、その家族自体も崩壊へ向かっていた。家族ごっこのあたりが強烈に面白いコメディだ。

■ストーリー

青年実業家のドリューは一人で過ごすクリスマスを避けようと、子供時代に住んでいた家を訪れるのだが…。ベン・アフレックとクリスティーナ・アップルゲイトが贈るハートフルコメディ。

■感想
成功した実業家のドリューが、クリスマスを家族と過ごすため、家族をレンタルする。離婚間近の夫婦と引きこもりがちの息子。そこに長男として入り込んだドリューは、自分の子供時代の思い出を再現するように家族に要求する。

何かと細かい要求をし、それにしぶしぶ答える家族たち。何か不満を見せるとドリューは支払う金を増やす。とんでもなく歪な家族ごっこだが、ドリューの主張がくだらないことで、それを嫌々ながらに実行する家族がむちゃくちゃ面白い。

タイトルの意味が少し理解できるのは物語の中盤以降だ。ドリューがやってこなければ間違いなく崩壊していたはずの家族。離婚は避けられず、息子は引きこもる。そのことを知ったドリューが家族の絆を深めるために動き出す。

このパターンで家族がまとまれば、わかりやすい感動物語だが、本作はそうはならない。ドリューのでしゃばった行動により、家族はぎくしゃくしだす。あげく、ドリューは祖父の役までも追加することになる。ドリューのハチャメチャな行動も面白いが、家族たちの突き抜けた考え方も面白い。

物語は家族の娘が登場することで変化していく。ドリューといがみ合いながらも良い関係となりつつある。家族と過ごすクリスマスがなにより大事だというのはよくわかる。そして、その先にあるのは、間違いなくハッピーエンドだ。

ひとりっきりのクリスマスを過ごすのは、まるで悪いことのように描く本作。ユーモアがあるから良いものを、ひとりで過ごす人は多いだろう。だからといって金の力で疑似の家族と過ごしたいとは思わない。すべてを手に入れたドリューだからこそ、期間限定でも家族を手に入れたかったのだろう。

ベン・アフレックの真面目そうな表情でむちゃくちゃな要求をするあたりが、最高に面白い。



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