恋のゴンドラ 


 2017.9.17      コメディ恋愛短編集 【恋のゴンドラ】

                     
恋のゴンドラ [ 東野圭吾 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
スノーボードをテーマとした連作恋愛短編集。浮気相手とスノボに行くと、偶然、同棲中の彼女が同じゴンドラに乗り合わせる。気になる女の子と仲良くなるために、仲間に頼んでゲレンデで告白するチャンスをもらおうとする。恋愛物語といってもドロドロとした恋愛ではない。基本はもてない日田がなにかとかわいそうな目にあう物語だ。

出てくるキャラクターがすべてさわやかな印象がある。恋に破れたとしても、さわやかに諦める。サプライズでのプロポーズや、彼女がいたとしても、友達の女の子と一晩過ごそうとしたり。連作短編集として、キャラクターの状況は変わっていく。カップル化し夫婦となり、あぶれた者だけが最後まで恋愛のドタバタを繰り広げている。

■ストーリー
結婚を目前に控えた広太は浮気相手とスノーボードに来ていた。ところが、ゴンドラで婚約者と乗り合わせて…。真冬に集う男女8人の運命は? あの東野圭吾が“恋愛"という永遠のミステリーに真っ向から挑む。

■感想
まず最初の「ゴンドラ」が強烈だ。浮気相手とゴンドラに乗ると、そこに同棲中の彼女が乗り合わせる。非常に不幸な偶然だ。いくらゴーグルをつけフェイスマスクをしているとはいえ、声を出せばバレてしまう。相手に名前を呼ばれようものなら…。

彼女が彼氏のことを友達同士で話をする。てっきりこの流れ的には、彼女はすべてをわかっていながら、彼氏を試すためにわざと知らないふりをしているのかと思った。物語は、最後の結末をぼやかした状態で終わっている。そして、このドタバタは別の短編に活きてくる。

ホテルマンの男たちがグループでスノボに行く。そこで女の子グループと共にスノボを楽しむ。このあたりはごく普通の青春物語だが、グループ内での恋愛は存在する。おおっぴらにカミングアウトしているカップルは良いのだが、隠れて付き合うカップルもある。

となると、付き合っているとは知らず、女の子に恋をする男が登場し、それを応援しようとする余計な者たちも存在する。このあたり、ちょっとコメディ風な雰囲気があり、恋に破れた男も非常にさわやかな結末となっている。

連作短編として何度もフラれてきた男に大きなチャンスが訪れる。基本的にキャラクターは過去の短編に登場してきた人物たちばかりだ。手ひどくフラれたり、二股をかけられていたりとみじめな思いを味わったキャラクターたちだ。

スノボに熱中しすぎて女の事をまったく考えない男は、女から引っ張られることで、自分よりも女を優先するようになる。それぞれのキャラクターに合わせた結末となっており、基本的には幸せな結末を迎えているように思える。

スノボをテーマとしたライトな恋愛物語だ。



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