きっと、うまくいく


 2016.3.16      強烈な学歴社会への反発 【きっと、うまくいく】

                     
[DVD] きっと、うまくいく

■ヒトコト感想
インド映画の良さがたっぷりとつまった作品。インドの社会問題をテーマとした作品なのだが、妙な明るさと突然おとずれる不幸、そしてユーモアあふれる展開が良い。インドの強烈な学歴社会と出世主義。良い仕事(エンジニア、医者)になれば幸せになれるという考え方。すべてに対して否定的であり、ユーモアを交えて描いている。

天才が集まる超難関大学のICEに型破りな生徒のランチョーが入学してくる。そこから3バカトリオとして、校内で数々の事件を巻き起こす。この3バカに対して権威主義者の学長との対決が面白い。昔ながらの学園コメディー風な流れがありながら、突如、学長に退学だと言われた生徒が飛び降り自殺したりと、激しい山や谷がある。ただ、ラストがかなり爽快で楽しくなる作品なので、すべての印象が良いイメージのまま終わっている。

■ストーリー

日の出の勢いで躍進するインドの未来を担うエリート軍団を輩出する、超難関理系大学ICE。エンジニアを目指す天才が競い合うキャンパスで、型破りな自由人のランチョー、機械より動物好きなファルハーン、なんでも神頼みの苦学生ラジューの“三バカトリオ"が、鬼学長を激怒させ、珍騒動を巻き起こす。

抱腹絶倒の学園コメディに見せつつ、行方不明のランチョーを探すミステリー仕立ての“10年後"が同時進行。根底に流れるのは学歴競争。加熱するインドの教育問題に一石を投じ、真に“今を生きる"ことを問いかける万国普遍のテーマ。

■感想
最初は単純な学園コメディかと思っていた。厳格な大学と厳しい学長の元につどう生徒たち。そこに型破りなランチョーがやってきて、今までの風習をぶち破る行動をとる。試験の結果を重視するのではなく知識を得ることを重視するランチョー。

学長や教授の理不尽な言葉に反応し、教授をやりこめたりもする。当然、目を付けられることになり、何かと不遇な目にあう。さらにはランチョーと付き合いのある3バカの残り二人は、親にまでランチョーと付き合うな、と告げ口されてしまう。

インドの強烈な学歴社会が皮肉を込めて描かれている。単位はとれないが、実力のある生徒が悲観し首つり自殺したり。絵の才能がある生徒に対して、親がかたくなにエンジニアになることを要求したり。果ては、学長の娘は値段にだけ価値をみいだす男と結婚させられようとしたり。

日本はさすがにここまでの学歴社会ではないと思えるほど、インドの現状が大げさに描かれている。効率を重視し、合理的に動くことだけを考える学長。方や自由奔放なランチョー。ふたりの対立がすべての象徴のようだ。

型破りなランチョーは、実力があるために成績はトップとなる。そして、十年後に3バカと優等生がお互いどちらが出世しているかを確認する約束をする。優等生はそれなりに金持ちとなってはいるが…。オチはお決まりどおり非常に楽しい展開となる。

ランチョーは飄々としながらも、試験のための勉強はせず常に実力をつけるために知識を吸収し続ける。恐らくインドの学歴社会からすると、はみ出し者なのは間違いない。ただ、誰もがこうありたいという理想がランチョーなのかもしれない。

作中の小ネタはどこかで聞いたことのあるものだが、面白いのは確かだ。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp