キット・キトリッジ


 2017.1.13      家が落ちぶれていくのを感じる子供 【キット・キトリッジ】

                     


■ヒトコト感想
ある程度裕福な生活をしていたキット。周りの家庭も生活レベルは高い。そこに世界大恐慌の波が押し寄せ、最初は近所の家が競売にかけられる。自分の家は大丈夫と思っていたキットだが、父親が失業し家では普通の生活をしていた父親が、実は外でホームレスに配給される食事を食べていた。キットの家が貧困に陥る序盤は衝撃的だ

裕福な家庭は生活レベルを落とさず見栄を張る。が、それも限界がくると、周りの目など気にしている暇はない。生活費を稼ぐために、家に下宿人を住まわせる。ここからキットの家には様々な人物が住むようになり、そこから放浪人のホーボーと仲良くなったりと、社会の現実を知る。序盤の社会派の流れから、後半はちょっとバタバタとしたコメディ風となっている。

■ストーリー
新聞記者を夢見るキットの家にも、世界大恐慌時代の波が押し寄せていた。そして父親が職を求めて家を出ている間、母親と住む家に下宿人を置き、家賃で生計を賄うことに。しかし、集まってきた下宿人たちはかなり個性的で、一筋縄ではいかない面々だった。

■感想
キットの家庭はちょっと裕福なごく普通の家庭だった。それが、大恐慌の影響で父親が失業し、以前と同じような生活はできなくなった。周りの同級生の家も次第に家を出ていくようになる。キットの家が落ちぶれていく過程は、非常にショッキングだ。

そして、それを目の当たりにする小学生のキットが非常にかわいそうになる。貧乏になると卵を売りだすらしい。キットの家では、部屋を他人に貸すことで現金を得ようとする。貧乏になっても立派な母親に支えられキットはたくましく育つ。キットが明るく前向きなのが良い。

キトリッジ家には様々な人が下宿することになる。ダンス教師、同級生の親子、マジシャンなど。さらにはホームレスであるウィルにまで家のちょっとした修理を手伝わせて、食事を恵んであげたりもする。キットの母親がしっかりとした信念を持ち、差別することなく人に接するのが良い。

様々な社会の縮図を身近に感じることになるキットは、新聞記者としてすばらしい記事を書くことになる。キット周辺では大恐慌の暗さはない。生活は苦しいが、皆工夫しながら日々を楽しく生きているように思えてくる。

キットの周辺で盗難事件が起こる。靴の足跡からウィルが犯人ではないかと疑われることになり…。ホームレスだからと疑われるウィル。苦しい時代に何か事件が起こると、必ず犠牲になるのは立場的に弱い者になる。キットの明るく前向きな気持ちで、盗難事件の真犯人を探し出そうとする。

子供たちが冒険しながら犯人を追いつめる。ピンチになるとウィルのホームレス仲間たちが助けてくれる。貧乏でもたくましく生きる。悲観的な気持ちよりも、前にすすむ気持ちが強ければ、すべてが解決に向かうと思わせる流れだ。

家が貧乏に陥るというのは、子供にとっては辛いことだろう。



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