奇跡


 2016.12.13      いじらしい子供たちの姿に涙がでてくる 【奇跡】

                     


■ヒトコト感想
子供たちが奇跡を起こすために冒険する。主人公である航一と龍之介兄弟の境遇は良いとは言えない。両親が離婚し兄弟で離れ離れに暮らす。兄は母親と共に鹿児島で。弟は父親と共に福岡で。それぞれは両親の離婚を悲しんではいるが、たくましくそして楽しく学校生活を送っている。

小学生が両親の離婚に巻き込まれ、兄弟が離れ離れに暮らすのは非常に見ていて辛くなる。が、それを感じさせない明るさが航一と龍之介にはある。特に龍之介は、父親がバンドマンであり食事の環境は良いとは言えない。それでも明るく楽しく女の子の友達も多い人気者となっている。航一と龍之介が家族一緒に暮らすことを夢見て、奇跡を起こすために冒険をする。子供たちのいじらしさに心打たれてしまう

■ストーリー
九州新幹線全線開業の朝、博多から南下する"つばめ"と、鹿児島から北上する"さくら"、二つの新幹線の一番列車がすれ違う瞬間に奇跡が起きて、願いが叶う――。そんな噂を耳にした小学6年生の航一(前田航基)は、離れて暮らす4年生の弟の龍之介(前田旺志郎)と共に奇跡を起こし、家族4人の絆を取り戻したいと願う。

二人の両親は離婚し、兄は母(大塚寧々)と祖父母(橋爪功、樹木希林)と鹿児島で、弟は父(オダギリジョー)と福岡で暮らしているのだ。兄弟は、友達や両親、周りの大人たちを巻き込んだ壮大で無謀な計画を立て始める。

■感想
両親の離婚に巻き込まれ兄弟が離れ離れに暮らす。ただ、そこで兄弟たちに悲壮感はない。それぞれが与えられた環境で明るくたくましく生きている。兄の航一はどことなく父親や弟に会えないことが寂しいそぶりを見せる。対して弟の龍之介は母親がいないにも関わらず、タコ焼きをおかずにご飯を一人っきりで食べたりとたくましさを見せる。

そして、学校では人気者らしく女の子の友達もたくさんいる。この龍之介の明るさが涙を誘う。母親からの電話に対する受け答えにしても、自分が父親似だから母親に嫌われていると思うなんていう言葉には涙がでてくる。

航一と龍之介は二つの新幹線の一番列車がすれ違う瞬間に奇跡が起きて願いがかなうことを信じて、その瞬間に立ち会おうとする。そこでいろいろな工夫や策略を練り、小学生の子供だけの大冒険が始まる。福岡からは龍之介とその友達が。

鹿児島からは航一とその友達がそれぞれ願いを考えながら、目的の場所へ向かう。さながらスタンドバイミーのような雰囲気すらある。小学生たちが大人たちの目をかいくぐりながら大冒険する。このハラハラドキドキ感はたまらない。

子供たちのセリフのひとつひとつが非常に心に残る。今現在の自分の心境を言葉にしているのだろうか。桜島が煙を出していることに対してツッコミを入れたり。主演の前田兄弟が関西弁ということもあり、どこか漫才のツッコミを思わせる流れだ。

子供たちの大冒険は、なんの奇跡も起きることなく終わる。死んだペットの犬を生き返らせてほしいという願いや、女優になりたいなど、子供らしい願いもある。子供らしい考え方や、親の都合により影響を受ける子供の辛さなど、下手すると涙が出そうになる。

子供たちが底抜けに明るく前向きなだけに、よけいに涙を誘われてしまう。



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