寄生獣


 2015.6.9      原作ファンはどう思うか 【寄生獣】

                     


■ヒトコト感想

原作マンガはかなり好きで何度も読み返した。どれだけ原作の雰囲気を表現できているのか、楽しみで見たのだが…。正直言うと、原作ファンには物足りないかもしれない。本作では、導入部分として新一とミギーの関係や他のパラサイトとの対決などが描かれている。原作と大きく異なるのは、新一と母親との関係だ。

エピソード的にコンパクトにした結果なのだろうが、原作ファンは納得するだろうか。田宮良子は良い。パラサイトの不気味さが原作どおりだ。それ以外のパラサイトは…。アクション映画として見ても、微妙かもしれない。原作を知っているからこそ、内容的に問題はないが、初見の人が本作を見た場合、どう感じるだろうか。非常に気になるところだ。

■ストーリー

普通の高校生・泉新一は、未知の生物に右手を食われた。地球の生態系に突然現れたこの生物は通称・パラサイト、なんと人間を食料とする新種の寄生生物~人間の脳を食い、その人間の身体に寄生する知的生物~だった。新一を襲ったパラサイトは、脳を奪うのに失敗し、右手に寄生してしまった。動揺する新一をよそに、右手は人間の言語や文化を学び、自らをミギーと名乗り、新一に共同生活を持ちかけてきた。

■感想
マンガ版は、実はモーニング連載中に立ち読みして一気にファンになった。そこからリアルタイムに連載を追いかけた感じだ。コミックスも買い、何度も読み返したりもした。そんな状態で、映画化ということで、かなり楽しみにしていたのだが…。

期待が大きいだけに、落胆も大きい。役者たちの演技は問題ないと思う。新一や新一の母親なども良い味を出している。肝心のパラサイトが田宮良子以外は、なんだかあまりにとってつけたようで、違和感ばかりが印象に残っている。パラサイトゆえにそのように表現しているのかもしれないが…。

原作と大きく異なるのは、母親のエピソードだ。最重要エピソードのみ残したため、本作のようになったのだが…。父親が最初からいないと言うのも違和感がある。シンプルな流れではあるが、パラサイトに寄生された苦悩というか、母親以外にも新一の周りで様々な犠牲者が発生したということが削られているのは残念だ。

映像的にはインパクトがあり、寄生獣の世界はそれなりに表現されていると思うのだが、それでも違和感がある。やはり原作マンガファンには、映像化というのは喜ぶべきことではないのだろう。

メインは完結編なのだろう。最強のパラサイトである後藤が登場し、さらには探偵も登場する。原作でも一番盛り上がるパートだ。映像化として完結編がどのようなできなのか。予告を見る限りはかなり面白そうだ。ただ、それは予告だからなのかもしれない。

新一がミギーに寄生されてからパワーアップし、その後、単独でもパラサイトと闘おうとする。単純なアクション映画にはならないと思うのだが…。後藤との激しい戦いをメインとするような完結編にだけはしてもらいたくない。

原作ファンは、少なからずがっかりすることだろう。



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