桐島、部活やめるってよ


 2016.2.1      残酷な校内カースト 【桐島、部活やめるってよ】

                     
桐島、部活やめるってよ [ 神木隆之介 ]

■ヒトコト感想
ありふれた高校生の日常を、様々な視点で描いた作品。高校には校内のカーストがある。それらを露骨に描いた作品でもある。桐島というバレー部の主力が、突如部活を辞めることになり、学校にも来なくなる。作中には桐島は登場せず、すべてクラスメイトや教師の言葉だけの情報しかない。桐島の恋人や親友。そしてバレー部の仲間。

皆が桐島が学校に来ないことに困惑し、混乱している。それら地位が上の生徒たちとは別に、最下層の生徒たちもその混乱を外から眺めることになる。様々な立場で描かれているので、自分の高校時代を思い出しながら感情移入できるだろう。ただ、中には非常に辛い状況にある生徒もいる。ただ、間違いなく青春時代の雰囲気を思い出すことができる作品だ。

■ストーリー

ありふれた時間が校舎に流れる「金曜日」の放課後。1つだけ昨日までと違ったのは、学校内の誰もが認める“スター"桐島の退部のニュースが校内を駆け巡ったこと。彼女さえも連絡がとれずその理由を知らされぬまま、退部に大きな影響を受けるバレーボール部の部員たちはもちろんのこと、桐島と同様に学校内ヒエラルキーの“上"に属する生徒たち、

そして直接的には桐島と関係のない“下"に属する生徒まで、 あらゆる部活、クラスの人間関係が静かに変化していく。校内の人間関係に緊張感が張りつめる中、桐島に一番遠い存在だった“下"に属する映画部前田が動きだし、物語は思わぬ方向へ展開していく。

■感想
バレー部の桐島が部活を辞めることになる。そこでバレー部内は混乱し、マネージャーは泣きだし始める。学校に来ない桐島に対して、恋人や親友は困惑する。桐島という生徒をめぐって様々な生徒たちが、それぞれの思惑で動き出す。

いけてる女子グループのボスであり桐島の彼女である女子は、強がりながらもイラつきを隠せない。いけてる女子グループの独特の雰囲気が良くでている。どこか他者を見下しつつ、自分たちが世界で一番のような雰囲気をかもしだしている。

いけてる男子グループは、桐島を待つことになる。そして、親友の男は…。野球部をずる休みし続ける男なのだが、その実力のためか、いつまでもキャプテンから「練習に来い」と優しく誘われる。いけてる帰宅部男子たちと、放課後ダラダラとバスケをやるだけの日々。

いけてる男子には、ひそかに恋心を抱くまじめな吹奏楽部部長の女子がいる。このなんとも言えない微妙な雰囲気は良い。他者の目を気にしつつも、相手から目を離すことができない。そして、いけてる男子に声をかけることもできない。

本作の主役的?立場なのは、最下層の映画部の男子だ。いけてる女子のひとりに恋をしつつも、実はいけてる男子と付き合っていたことを目撃してしまう。自分たちがヒエラルキーの最下層にいることを自覚しつつ、映画を完成させることに力を注ぐ。

オタクの男子たちが、いけてる女子から笑いモノにされるのはもはや宿命だろう。体育の授業では、いけてる男子たちから邪魔者あつかいされる。これが青春というか、いけてる男子と女子のちょっとした絡みは、まさに青春を思い出させる場面だ。

様々な立場の生徒たちが登場するので、誰かには感情移入できるちょっと変わった青春物語だ。



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