きりこについて 


 2017.7.27      圧倒的ブスな女の難易度の高い人生 【きりこについて】

                     
きりこについて [ 西加奈子 ]
評価:3.5
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■ヒトコト感想
まるで「吾輩は猫である」のように、猫のラムセス2世目線の本作。美男美女の両親から生まれた不細工なきりこが主人公であり、そのきりこの周りの人々の成長の記録でもある。きりこがブスでありながら、小学生の高学年まで自分がブスであることに気づかず、我が物顔で人生を謳歌していたり。きりこを見たママ友たちが、あまりのブス具合に絶句したり。

ブスと気づいたきりこは引きこもるのではなく、そこから違う道へとすすんでいく。きりこは非常に生命力にあふれている。また、きりこの周りの人々の人生も波瀾万丈に満ちていて面白い。ラムセス2世の冷静なツッコミと解説もまた面白さに拍車をかけている。きりこのキャラが何よりインパクト抜群だ。

■ストーリー
小学校の体育館裏で、きりこが見つけた黒猫ラムセス2世はとても賢くて、大きくなるにつれ人の言葉を覚えていった。両親の愛情を浴びて育ったきりこだったけれど、5年生の時、好きな男の子に「ぶす」と言われ、強いショックを受ける。悩んで引きこもる日々。やがて、きりこはラムセス2世に励まされ、外に出る決心をする。きりこが見つけた世の中でいちばん大切なこととは?

■感想
強烈にブスな顔で生まれた女の子きりこ。両親はきりこのことを「かわいい」と言う。きりこは自分のことを可愛いと思い込み、日々を過ごす。幼稚園時代は圧倒的なリーダーシップで周りに園児たちを従えボス的存在となる。そこから小学校にあがると、多少の変化はあってもきりこの生活は変わらない。

好きな男の子に「ブス」と言われるまでは…。小学校高学年で自分がブスだということを認識したきりこ。ちょっと遅すぎる感もあるが、誰もが通る道だろう。以前のようなリーダーシップが発揮できず、人知れず苦悩するきりこ。

きりこの初恋相手のこうた君や、近所に住む美しい少女などの人生も描かれている。きりこの飼い猫であるラムセス2世目線なので、それらが冷静な視点で描かれている。有名AV女優になり、その後レイプされ、女性を支援する団体を設立したり。

幼少期からモテモテだったこうた君は、不良となりお決まり通りのコースをたどり、最後は見た目は良いが金のない男となり、女性から目を向けられなくなる。幼少期の栄光がそのまま大人になってまで続くことはない。なんだか残酷だが、真実を射ているようだ。

きりこの人生は特別破天荒なわけではない。群を抜いてブスだという以外は、リーダーシップもあり人間的にはしっかりしている。ただ、男には縁がない。初恋の人であるこうた君と出会い、人生経験を積んでいくことで、人間の見た目はただの器でしかない。中身が重要だと気付く。

アラフォーで結婚を夢見る元モテモテ女子が気づくように、人間の中身に目を向けるのだろう。自分がブスであっても相手に求めるモノは、欲望のおもむくままに、という考え方もある。ブスだからこそ図々しくというのもあるのだろう。

生まれた時から群を抜いてブスの人生は、非常に難易度は高いだろう。



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