キングダム 見えざる敵


 2015.12.14      中東独特の恐怖感 【キングダム 見えざる敵】

                     


■ヒトコト感想

サウジアラビアで発生したアメリカ人を狙ったテロ。実話をベースにした物語だが、こんな事件が起きていたというのは知らなかった。冒頭でのテロの場面は衝撃的だ。テロ側の視点がない状態で無差別テロを描かれると、強烈な恐怖感がわいてくる。FBI捜査官として少ない時間で調査に乗り込むことになったフルーリ。限られた時間と、サウジアラビアという独特の風習がある国で調査することの苦労。

王子たちや政治家との駆け引き。中東の独特の雰囲気は西側諸国を排除する方向にある。必ずしも歓迎されない国での調査の困難さが描かれている。実話をベースにしているので、ラストの流れは衝撃的だ。仲間を犠牲にしながらテロリスト犯を突き止める。テロリストが全面的な悪と、アメリカ側視点で描かれている。

■ストーリー

FBI捜査官のロナルド・フルーリ(ジェイミー・フォックス)は、絶対君主制の王国サウジアラビア-“キングダム”-で起こった在住アメリカ人を狙ったテロ殺害事件の捜査のため、エリート捜査員3人(ジェニファー・ガーナー、クリス・クーパー、ジェイソン・ベイトマン)とともに現地に赴く。

しかし彼らに許された時間はたったの一週間。他人を犠牲にしても私腹を肥やそうとする資産家たちや、一筋縄では行かない政治家たち、そして西側諸国を目の敵にしているテロリストなどそれぞれの思惑が複雑に絡み合い、やがて捜査官たちの命もが危険に晒される・・。

■感想
サウジアラビアで在住アメリカ人を狙った大規模なテロが発生する。その際のインパクトはすさまじい。中東の国ではアメリカ人がどのような扱いを受けているのか。警備員に囲まれ強固なセキュリティで守られていたとしてもテロを防ぐことはできない。

FBI捜査官のフルーリがテロの調査をしようとしても、なかなか許可がおりない。さらには、調査の妨害すらされる状況にある。スペシャリストをそろえた調査チームではあるが、自由に調査できないことにいらだちを覚える。中東独特の雰囲気が物語を不気味なものにしている。

サウジアラビアの国内での調査には様々な障害がある。FBIレベルの調査を現地人に依頼するのは難しい。アメリカ人主導での調査についても問題がある。サウジアラビア国内での問題も多々ある。王子が幅をきかせる国。何かをやるにも激しい制限がつく国。

西側諸国に対して風当りが強い状態では、FBIの捜査官であっても見知らぬ地域へ行くのは危険が伴う。フルーリたちの捜査により、犯人像が明らかとなってきた時、テロリストたちが新たな動きをし始める。下手をすれば国をあげての攻撃につながりかねない状況だ。

FBI捜査官たち自身のセキュリティは万全の状態で調査を開始したのだが、それでもテロリストたちに狙われることになる。突然襲撃され、拉致される。拉致された後は、動画を取られながらの死刑によりさらし者にされる。

テロリストたちの卑劣な手口をこれでもかとアピールしながら、アメリカの正義をアピールしている。物語としては卑劣なテロリスト対正義のアメリカだが、テロリスト側の視点は描かれていない。強烈なインパクトはないのだが、テロの恐怖を感じるのは間違いない。

実話をベースにしているだけに、中東独特の恐怖が伝わってくる。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp