きみがくれた未来


 2015.11.4      ファンタジーあふれる感動作 【きみがくれた未来】

                     


■ヒトコト感想

高校でヨットのスターとなったチャーリー。不運な交通事故で弟のサムを事故死させたことで、精神的に病んでしまう。何もかもが嫌になり、墓地の管理人となるチャーリー。そこでチャーリーが会話するのは、すでにこの世にいないはずの人物ばかり。現実から虚構の世界に逃げ込んだチャーリーに、夢を追いかけ続けるテスの存在がまぶしく映る。

昔のヒーローが辛い事故の経験から精神的に病んでしまう。そこから、死んだ人物たちと会話し、サムとは毎日決まった時間にキャッチボールする。ファンタジーあふれる展開ではあるが、悲しみから復活するまでの過程に無理がない。ありがちなストーリーかもしれないが、感動するポイントは押さえられている。

■ストーリー

不運な交通事故に巻き込まれ、弟サムを死なせてしまったチャーリーは、ヨットの夢をあきらめてサムが埋葬されている墓地の管理人となり、静かな生活を送っていた。それから5年後、高校の同級生でヨットの夢を追い続けているテスと再会し、それをきっかけに奇跡が起こる…。

■感想
ヨットのスター選手だったチャーリーが、不運な事故により車に同乗していた弟のサムを事故死させてしまう。心に深い闇を抱えたチャーリーは、サムの幻を見るようになる。死んだ者たちが、あたかも存在するかのようにチャーリーと会話をする。

周りの者たちは、あのスターだったチャーリーがおかしくなったと思う。墓地の管理人の仕事をただひたすらダラダラと続けるチャーリー。イケメンな風貌が、ダラダラとした生活の中でも、どこか光輝く印象を残している。心にトラウマを抱えた者の困惑が絶妙に描かれている。

静かな生活を送っていたチャーリーの元に、高校の同級生で、今もヨットの夢を追いかけ続けるテスの存在がまぶしく映る。高校時代に光り輝いていたチャーリーと、今まさに輝くテス。テスからすると、高校時代には手の届かない存在だったチャーリーがいつの間にか、どうしようもなく落ちぶれた存在となっていた。

テスとチャーリーの関係が深まるには、それほど時間はかからない。ただ、本作はこの部分が一番のポイントだろう。のちに判明する衝撃的な事実。チャーリーとテスが過ごした一夜は幻なのか。

ファンタジーあふれる展開で、ありがちなパターンではある。死者と会話できるというよりも、チャーリーが勝手に頭の中で作った幻影と会話をしているだけ。それが、テスに対する奇跡へとつながっていく。強烈なインパクトはなく、後半になると、先の展開が読めてしまう。

それでも、感動することは間違いない。心のトラウマを払しょくできずに、常に心の闇を引きずってきた男が、どのようにして復活するのか。それにはやはり恋や愛の力が必要だということなのだろうか。

ありがちなパターンだが、安心できる流れだ。



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