機関車先生


 2015.2.27      話せない先生は大人気 【機関車先生】

                     


■ヒトコト感想

剣道の事故で話ができないので、子供たちから「口をきかん」ということで機関車先生とあだ名された先生の物語。昭和30年代の物語なので、なにより子供たちが純粋だ。そして、島の大人たちも、あからさまに厭なやつはいない。

大人たちは島に誇りをもち、よそ者の機関車先生を排除しようとする。が、機関車先生の子供たちを想うまっすぐな気持ちと、島のために剣道の試合に出場するなどして、みなから信頼を得ていく。話をしないが、朴訥として表情がさわやかな男。坂口憲二が機関車先生を好演している。田舎の子供たちの純粋さと機関車先生のまじめさがにじみでている作品だ。小学生が道徳の時間に見るような映画か?

■ストーリー

昭和30年代の自然あふれる美しい瀬戸内海の小島を舞台に、口のきけない先生と7人の生徒との心の交流、勇気と成長を描く。

■感想
口のきけない先生がどのようにして子供に教えるのか。朴訥で寡黙な男が、小学生たちと心を通わる。機関車先生の授業風景は特殊だ。話ができないので、黒板に文字を書く。どう考えても教師には向いていないように思えるのだが、田舎で生徒数が極端に少ない小学校だからこそ可能なのだろう。

親たちが機関車先生に対して不信感を持つのは納得できる。自分が子供の親だったとしたら、口のきけない教師に子供の教育ができるのか?と不安に思うのは当然だろう。

機関車先生は体が大きくイケメンで朴念仁風でもある。先生が島に残るには、島の誰かと結婚すればよいと、子供たちが勝手に結婚相手を探すのが秀逸だ。機関車先生の、誰からも好かれるキャラクターは、口がきけないということと、誠実そうな風貌がそう思わせるのだろう。

子供たちに好かれ、島の独身女性たちに好かれ、剣道の試合をこなしたことで島の男たちにも好かれる。まさに完全無欠の状態だが、どうも綺麗すぎる。映画作品としたら、何か大きなドラマがあっても良いように思えてしまう。

唯一の波と言えば、機関車先生の母親が過去に島を捨てて出たということだ。それすらも、機関車先生自身には関係のないことだ。口がきけないが誠実な態度で生徒たちと心を通じ合わせる。まるで小学生の道徳の時間に上映される教育委員会推薦映画のようだ。

どんな子供たちに見せても問題ない。親が子供に積極的に見せたがるような作品だ。それはすなわち、大人からすると物足りないということの裏返しだ。本作のような映画には、大きな意味があるのかもしれないが、積極的に見たいと思うかというと…。

機関車先生があまりに清廉潔白すぎる?



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