建築学概論


 2017.12.22      若さゆえの過ちに、大人になり気づく 【建築学概論】

                     
建築学概論 [ オム・テウン ]
評価:2.5

■ヒトコト感想
タイトルがタイトルだけに、どのような作品かと思っていたら…。中身はわりと単純な恋愛映画だ。過去に建築学概論を一緒に受けた女学生に恋をした男の物語というだけだ。建築家として微妙な立場のスンミンは、初恋の相手であるソヨンに家の建て替えを依頼される。ここから、現在と過去が交互に語られることになる。

現在のソヨンはそれほど幸せそうには見えない。対してスンミンはそれなりに順調だ。お互いがお互いを初恋の相手だと知らないまま現在にいたる。些細な誤解から行き違いが起こり、音信不通となる。過去のわだかまりを解いて、お互いが初恋の相手だと告白するのだが…。ごく普通にありがちな物語を描いているだけだ。

■ストーリー
建築学科に通う大学1年のスンミン(イ・ジェフン)は、“建築学概論"の授業で音楽科の女子学生ソヨン(スジ)に出会い、一目で恋に落ちた。しかし、恋に奥手なスンミンはなかなか告白できないまま、小さな誤解からソヨンと遠ざかってしまう。

それから15年後、建築士になったスンミン(オム・テウン)の前に、ソヨン(ハン・ガイン)が突然現れ、家を建てて欲しいと言う。その建築の過程で次第に明らかになるソヨンの素性。そして、よみがえる記憶と新たに生まれる温かな感情。しかしスンミンには婚約者がいたー。

■感想
メインは大学時代のモヤモヤとした恋愛感情なのだろう。奥手なスンミンと思わせぶりなソヨン。先輩とソヨンの関係が気になって仕方がないスンミン。デートに誘うことや告白することができず、友達に相談したりもする。

軽いキスまでする関係なのだが、お互いがお互いの気持ちを知らないまま崩壊へと繋がる。よくあるパターンだろう。ソヨンと先輩が仲よくしているのを見て勝手に想像し、ひとり怒りだすスンミン。そして勝手に決別宣言をしてしまう。若者にありがちな暴走だろう。

現代のスンミンはソヨンに設計を依頼されてもわりと平然としている。対してソヨンは微妙な感情をのぞかせるのだが…。実はスンミンには婚約者がおり、ソヨンが入り込む隙間はなかった。結局のところスンミンはわりと幸せな生活を送り、ソヨンの方が不幸の度合いが強い。

過去はどうあれ、現在はそれぞれの生活を続ける。大人になり気づくこともあり、後悔することもある。結末間近では、お互いがお互いを初恋の相手だと知る。ただ、知ったとしても現在の関係が変わることはない。

スンミンが久しぶりに実家に帰ると、過去の若い自分が癇癪を起して蹴り壊したドアがそのまま残っている。さらにはダサいと言われたスウェットを母親が着ていた。このシーンを見ると、強烈な悲しみが襲ってくる。

新しい生活へ踏み出そうとするスンミンと、現在の状態で死ぬまでここにいると言う母親。若さゆえの過ちに気づくのは、大人になってから。ただ、気づいた時にはもうどうにもならない。スンミンもソヨンもそれぞれ、大人になって気づくことがある物語だ。

タイトルからは想像できない、ありふれた恋愛物語だ。



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