2015.2.7 すべてを終わらす衝撃的なオチ 【風にそよぐ草】
■ヒトコト感想
中年の恋なのだろうか。スタイリッシュな雰囲気はある。が、突然、拾った財布の中の写真を見て恋に落ちるのはやりすぎだろう。そこからストーカー騒ぎとなり、連絡がなければ逆に気になる。最後には複雑な三角関係風になり、壮大なオチが待っている。登場人物たちがおばさん&おじさん夫婦と年齢層が高い。
この年齢でいきなり熱狂的な恋をするか?という疑問もあるが、中年だからこそ生々しさがなく良いのだろうか。おじさんに関しては、奥さんがいるにも関わらず、見ず知らずの女性に熱をあげる。フランスだから受け入れられる作品なのだろうか。これが日本だと成立しないような気がしてならない。不倫が当たり前?の国ならではなのか。
■ストーリー
ある日、歯科医のマルグリット(サビーヌ・アゼマ)は街で引ったくりに遭いバッグを持ち去られる。駐車場に捨てられたバッグの中にあった財布。拾ったのは初老の紳士ジョルジュ(アンドレ・デュソリエ)だった。中に入っていたマルグリットの小型飛行機操縦免許の写真を見て、彼の中で何かが弾けた。警察に届け、マルグリットの元に戻った財布。
彼女がお礼の電話をかける。ジョルジュが、妻と子供たちと食卓を囲んでいる最中、電話のベルがなった。「お礼を」、「それだけ?」、「他に何を?」、「“会いたい"とか」、「必要を感じないわ」、「がっかりだ」。こうして始まった二人の関係は、周囲を巻き込みながら、思いもよらない方向に転がり始める・・・。
■感想
財布をなくしたマグリット。その財布を拾い、写真を見て恋におちたジョルジュ。ジョルジュが財布を拾ったからといって、マグリットに会いたいというのはかなりおかしい。電話で話をしたり、手紙を書いたりと、マグリットが嫌がっているにも関わらず、自分の気持ちに正直なジョルジュは、結局のところただのストーカーだ。
作中でもマグリットが警察に駆け込んだことで、ジョルジュは要注意人物扱いされることになる。ただの中年ストーカー映画かと思えば、そうではない。その後のマグリットの行動により作品が成立している。
ストーカー騒ぎのあと、ジョルジュから連絡がないと、途端に気になりだすマグリット。もう勝手にやってくれといった感じだ。自分のことを気にかけてくれた男が、そっぽを向くと急に気になりだす。思春期の中学生的流れだが、中年同士の恋の駆け引きなのだった。
あげくの果てには、ジョルジュの妻とも知り合いになろうとするマグリット。ここまでくるとよくわからない。マグリットは何がしたいのか、そして、ジョルジュの妻も、何かしら察しながらも何も言わない。良くわからない関係だ。
ラストはずっこけるオチが待っている。マグリットが運転する飛行機に乗るジョルジュとその妻。そして…。まさかこんなオチをもってくるとは思わなかった。想像外のオチで、観衆は思わず意味を考え込んでしまうだろう。
何か深い意味があるのか、それともすべてを終わらせてしまいたかったのか。本作がどの程度評価されているかわからないが、難解な映画であることは確かだ。そして、一般受けはしないだろう。小難しいことが大好きな人にはおすすめかもしれない。
映画作品にこだわりがある人は見てみると良いだろう。
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