顔のないスパイ


 2015.5.24      新鮮なリチャードギアの悪役 【顔のないスパイ】

                     


■ヒトコト感想

ソ連の伝説のスパイ”カシウス”を追いかける物語。元CIAエージェントのポールと若手刑事がカシウスを追いかける。単純な刑事ものかと思いきや、カシウスの正体はすぐに明らかとなる。実はポールがカシウスであり、自分のことを自分で追いかけていたというのがポールの本性だ。同僚や上層部から信頼のあついポール。

対して若手刑事はカシウスオタクと言えるほど、カシウス逮捕にすべてをささげている。そんな二人がコンビを組むことにより、不自然な状況が生まれてくる。ポールは元CIAとして動きながらも、瞬間的にカシウスとなり殺人を犯す。ポールと若手刑事の葛藤が興味深い。ポールがカシウスとわかってからも、正体を隠すポールの巧みな行動に魅了されてしまう。

■ストーリー

殺害された上院議員の手口から、ソ連の伝説のスパイ“カシウス”の容疑が浮上する。事件解決のため、以前カシウスの追跡に実績を残した元CIAエージェントのポールが緊急招集され…。

■感想
ワイヤーを使ってターゲットの首を切るカシウス。カシウスを追いかけ続けるポール。CIA内部ではカシウスのことを一番よく知る男というふれこみのポールだが、実はポール自身がカシウスだった。序盤からカシウスの正体が判明するのだが、サスペンス的な面白さは増大している。

ポールがどのようにしてカシウスを追いかけ続けたのか。そして、ポールがカシウスになる瞬間も描かれている。ポールは自分がカシウスだとはバレないように、正体を知る者をすべて始末していく。ポールの冷酷非道な行動がすさまじい。

若手刑事とポールの関係が面白い。カシウスオタクの若手刑事が真相に近づきつつあることに気づいたポールは、刑事を始末しようとするが、家族がいることに気づき思いとどまる。ポールの意外な優しい一面であり、ポールの暗躍具合が際立つ部分だ。

家族ぐるみでの付き合いとなり、より刑事の排除が難しい状況となる。ポールは自分がカシウスだということが知られないように、あらゆる手段を講じる。このあたり、カシウスとみなされた他の犯罪者たちとの関係も秀逸だ。微妙なバランスでお互いの関係性が作り上げられている。

ポールがカシウスとして行動してきた理由が後半に語られることになる。ここでタイトルの意味が判明する。ある意味、大どんでん返しかもしれない。カシウスが悪だとしたら、正義は若手刑事にある。その図式の中では、ポールの存在はどっちつかずの状態だ。

ポールの正体が最後の最後で若手刑事に知られることになる。ポールがカシウスだと知ったとき、男はどうするのか。ラストは少し物悲しい雰囲気となる。リチャード・ギアが、ガチガチの悪役を演じることに違和感があったが、それは最初だけだ。

カシウスの正体が序盤で判明したときは、この先どうなるのかまったく予測がつかなかった。



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