鍵泥棒のメソッド


 2016.3.8      個性的なキャラが最高に面白い 【鍵泥棒のメソッド】

                     
鍵泥棒のメソッド(DVD)

■ヒトコト感想
冒頭から怪しげな殺し屋が登場したかと思うと、突然人を刺殺し車に押し込む場面が登場する。雑誌の編集部では女編集長が几帳面に机を掃除し、結婚しますと宣言する。なんだか個性的すぎるキャラが登場し、かなり癖のある物語であることは間違いない。冒頭から引き付けられ、細かな説明はないが、登場人物たちの暮らしぶりや仕草を見るだけで現在の境遇がはっきりとわかる。

売れない劇団員は、死を考え死ぬ前に銭湯で体を綺麗にしようとする。そこで、足を滑らせ頭を打ち記憶を無くした殺し屋と入れ替わることになる。この巧みな入れ替わりと、几帳面な性格の殺し屋が最高に面白い。そして、偶然の出会いから女編集長と良い感じになる。先が気になって仕方がない作品だ。

■ストーリー

堺雅人、香川照之、広末涼子らの共演で奇想天外なストーリーが展開する痛快コメディ。売れない貧乏役者と記憶を失った殺し屋。対照的なふたりの人生が、ある日ひょんなことから入れ替わってしまい…。

■感想
まず登場してくるキャラクターたちが魅力にあふれている。謎の殺し屋が記憶をなくしてからは、売れない劇団員として生活する。まじめで几帳面な生活ぶりは好感がもてる。記憶を無くしたとはいえ、シャツをジーンズにインするそのファッションセンスが妙に笑えてくる。

自分を取り戻すため、ノートに細かく気づいたことを書きつづり、部屋は綺麗に整理整頓する。そんな男に出版社の編集長は惹かれてくる。また、この編集長も変わり者だが、変わり者同士、妙にうまくいくように思えてしまう。

殺し屋のふりをする売れない劇団員。これが突然大金を手に入れてから、何をするかというとちょっと服を買う程度で、特別豪遊するわけではない。昔の女に借金を返し、良心の呵責に悩まされながら殺し屋として人を助けようとする。

売れない劇団員のパートは無理やり感があるが、芯からにじみ出る良い人オーラがチグハグな感じがして面白い。ヤクザに一目置かれるほどの実績ある男を演じるのはかなり無理があるのだが、やりきってしまうあたりがすばらしい。

本作のすばらいしのは、殺し屋のイメージが後半にがらりと変わる部分だ。記憶をなくした時のまじめな行動は、結局のところ記憶を取り戻してからも根は変わらないということだ。殺し屋が登場してはいるが、悲惨な物語ではない。楽しい気持ちになれることは間違いない。

記憶を取り戻してからも殺し屋は女編集長への恋心を忘れることができない。くそまじめなふたりが、微妙な距離感から距離を一気につめるのは、なんだか微笑ましい。ラストの流れも強烈なハッピーエンドなのは良い。

物語のテンポといいストーリーといい最高だ。



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