女帝 エンペラー


 2015.10.11      印象的な白い仮面の踊り 【女帝 エンペラー】

                     


■ヒトコト感想

古代中国の権力争いを描いた作品。兄弟が殺し合い皇帝の座を狙う。皇帝である父親を暗殺された皇子のウーと、その母親がどのようにして権力を取り戻そうとするのか。血なまぐさい争いを身内で繰り広げる。冒頭から奇妙な白い仮面を被り、ゆっくりとした動作で踊る集団が登場する。

ウーが得意とするのは踊りで、叔父の兵たちの襲撃からも踊りながら逃げ回る。バタバタと倒れていく踊り子たち。仮面で表情が見えないため、奇妙な印象ばかりが残る。殺されていくことをあっさりと受け入れているようにも見える。その他、近衛兵たちも独自の仮面を被り、任務に失敗すると躊躇なく自害する。人の死が印象的な作品だ。

■ストーリー

乱世の五大十国時代、絢爛豪華な中国宮廷を舞台に愛と欲望を巡って繰り広げる女たちの復讐劇を描いた超一級歴史スペクタクル!西暦907年、空前の繁栄を誇った唐王朝が崩壊、皇帝と大臣が権力を奪い合い、皇室では父子、兄弟が殺しあう時代。

ワンは先の皇帝の息子で継子の皇子ウー・ルァンに密かな思いを抱いていた。彼は宮殿とは離れた邸宅で暮らしていたが、父が暗殺されたという密書を受けて宮殿に戻ることを決意する…。

■感想
人がジャンプするとふわりと浮かび、何メートルも飛び上がる。ワイヤーアクションを効果的に使った作品だ。剣を持ち舞い踊りながら敵を倒していく。ウーとその母親がどのようにして皇帝の仇である叔父を倒すのか。踊りに心血を注いできたウーが、叔父の追撃をかわす。

そして、宮廷内では醜い権力争いと、毒による暗殺を企てる面々もいる。人の死が印象的に描かれている作品だ。体に剣が刺さると、まるで赤の絵の具を水で溶かしたような血が飛び散る。

物語のターニングポイントで必ず登場するのが、奇妙な白い仮面を被り、白装束姿で踊る集団だ。そこにはウーが紛れている場合もあるし、単純な皇帝へのおもてなしという場面もある。踊りながら剣を持ち攻撃する。

ひとたび戦いが始まると、皇帝を守るために近衛兵たちが登場してくる。踊り子たちが被る仮面は笑っているようにも見える。その仮面を被りながら踊り、そして近衛兵たちに殺されていく。まるで笑いながら切られているようにも見えてしまう。

身内同士の複雑な関係が描かれる作品。印象的な踊りにより隠されてはいるが、かなり残酷な物語だ。権力を奪うために皇帝は自分に歯向かう大臣を容赦なく一族もろとも処刑する。そして、大臣たちは反乱の機会を探り、父子、兄弟の殺し合いが始まる。

暗殺が当たり前の時代を象徴するように、毒がポイントとなっている。奇妙な踊りに目を奪われ、残酷な殺戮ショーが続き、あさましい権力争いへと繋がる。若干の恋愛要素があるのが救いだろう。

仮面姿の踊りは、強烈なインパクトがある。



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