ジャスティス


 2016.8.31      捕虜収容所とは思えない空気感 【ジャスティス】

                     


■ヒトコト感想
ドイツ軍の捕虜収容所内での物語。冒頭でハート中尉がドイツ軍に捕らえられるところから始まる。驚きなのは捕虜収容所の描写だ。ドイツ軍の捕虜収容所といえば、暗く狭い牢屋に押し込まれ、貧しい食事と辛く厳しい強制労働の日々で、捕虜たちはガリガリかとイメージしていた。それが、収容所内ではアメリカ兵たちのコミュニティができており、階級での地位も確立されている。

寝る場所も確保されており、どことなく文化的な生活を送っているようにすら思えてしまう。ちょっとした軍の施設といわれてもわからないだろう。そんな収容所で殺人が起こり、被告を弁護することになったハート。ドイツ軍の大佐の渋さとかっこよさ。そして米軍の大佐の潔さが印象的だ。

■ストーリー

1944年、ドイツ軍の捕虜収容所内で殺人事件が発生し、米軍中尉ハート(コリン・ファレル)は容疑者の黒人米兵の弁護を務めることに。しかし捕虜たちのリーダー的存在のマクナマラ大佐(ブルース・ウィリス)は、なぜか彼の調査をことごとく妨害していく…。

■感想
ドイツ軍に捕らえられたアメリカ兵たちが収容された施設での出来事。ドイツ軍の捕虜収容所となると過酷な環境を想像していたが、予想外に捕虜にやさしい収容所となっている。収容所内では、まるでアメリカ軍の拠点のように幹部がおり、兵士たちがいる。

階級通りの扱いを受け、統制のとれた生活を送る。ぱっと見はまったく捕虜のように見えない。唯一そうとわかるのは、鉄格子で囲まれた場所にいるということだけだ。緩い監視に自由な空気。強制労働をさせられている風ではない。このあたりがかなり意外だ。

捕虜収容所で殺人事件が起こる。黒人を差別してきた男が殺された。容疑者を弁護することになったハートとアメリカ兵をまとめる大佐との間で軋轢が生じる。ドイツ軍の兵士たちがまるで友達と会話するようにアメリカ兵たちと会話をする。

ドイツ軍の大佐はハートと親しげに話す。とても敵対している関係とは思えない。捕虜と監視する側というイメージがまったくない。武器の携帯などには厳しいが、それ以外は自由気ままに、まるでアメリカの刑務所のような雰囲気かもしれない。

収容所内でアメリカ軍の軍事裁判が行われる。このあたりもかなり異常に思えた。ドイツ軍の捕虜収容所内で、捕虜として囚われているアメリカ兵たちが裁判を起こす。ドイツの兵士たちは何も口を出さない。そんな状況の中でアメリカ兵の大佐はある策略を練る。

強烈なインパクトがあるのは、ラストの流れだ。アメリカ兵たちを守るために、自分の信念を貫き通す男。ハートはアメリカ軍の目的を果たすために、自分が犠牲になろうとする。同じことを大佐も考えていたということなのだろう。

そもそもの物語の舞台が意外なので、それが強烈に印象に残っている。



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