ジャージの二人


 2017.3.15      都会の喧騒から離れた緩い生活 【ジャージの二人】

                     
評価:3

■ヒトコト感想
会社を辞めたばかりの息子とその父親が北軽井沢の山荘で過ごす。ジャージを着てリラックスなかっこうで日々をおくる。非常に緩くのんびりとした作品だ。山荘では都会のアクセクした雰囲気とは対照的に、すべての時間がゆっくりと流れる。家の周りを掃除し、ゲームをしたり小説を書こうとしたり。近所のスーパーでトマトが安ければ、トマトを大量買いし食卓にはトマトが並ぶ。

たとえ妻が東京で別の男と恋愛していたとしても、どこか見て見ぬふりをする。なんだかあまりにのんびりしすぎなこの親子の行く末が心配になってくる。息子は小説を書こうとし、父親は麻雀ゲームをし続ける。真面目に働くこととは対極にある二人を、ちょっとうらやましく思ってしまった。

■ストーリー
会社を辞めたばかりの息子(32歳)が、グラビアカメラマンの父(54歳)に誘われ、避暑地・北軽井沢の山荘で過ごす夏休み。二人は、亡き祖母が集めてきた古着のジャージを着て、ゆったりとした時間の流れに身をゆだねる。だが、東京では息子の妻がよその男と恋愛中、父は3度目の結婚も黄色信号と、それぞれ抱える悩みがあった。都会の喧騒を離れた生活の中で繰り広げられる、軽妙でユーモラスな会話の数々。

■感想
携帯の電波が立たない場所。唯一電波の入りが良い場所は、田んぼのど真ん中だ。そんな田舎でひと夏を過ごす息子と父親。何か目的があって山荘で過ごしているわけではない。真夏の都会のコンビニで待ち合わせをし、「せば、行くか」と言う。

熱帯の都会とはうって変って山荘は肌寒いためジャージが必要になる。そのジャージはどこかの小学校のジャージなのか、非常に特殊なデザインのジャージばかりだ。目の覚めるような黄緑のジャージやオレンジのジャージなど、このジャージが緩さを強調している。

息子は妻に浮気をされ、父親は3度目の結婚も危うくなる。なんだか複雑な状況のはずが、当人たちにはそんなことは微塵も感じさせない緩さがある。プライベートのゴタゴタを忘れるために山荘に来ているのだろうか。おせっかいなご近所さんと、山荘での生活は不便なことも多い。

ビデオデッキがないだとか、風呂が五右衛門風呂だとか、巨大な虫が部屋の中に入り込むだとか…。田舎の山荘であればしょうがないことなのだが…。1泊2日程度であれば問題ないが、長期間滞在するのはちょっとしんどいかもしれない。

都会の喧騒を離れて自由で緩い生活をする。生活に何の不安もない状態であれば、たまには良いかもしれない。常にそこで生活するのは辛い。夏の間だけであれば良い。ジャージで緩い生活をするのは、まさに都会の疲れを癒すのに調度良いかもしれない。

何の悩みもないような顔をした登場人物たち。実は非常にディープな悩みがあるにも関わらずそれを表面にださない。ある意味、なるようになると考えて、先のことなど考えないのだろう。

都会人の悪いところは、常に先のことを考えて日々生活することだろう。



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