自虐の詩


 2017.4.8      意外な感動物語 【自虐の詩】

                     
[DVD] 自虐の詩 プレミアム・エディション
評価:3

■ヒトコト感想
原作マンガはチラっと見たことがある程度。薄幸な幸江が内縁の夫であるイサオに振り回される物語だ。冒頭から幸江が昔から不幸だったという部分から始まり、イサオが暴れん坊でとんでもない男だということはすぐにわかった。ちょっと気に入らないことがあるとすぐにちゃぶ台をひっくり返す。醤油のふたが外れただけでちゃぶ台返し。

幸江がちゃぶ台を返されないよう畳に釘で打ち付けても、畳ごとひっくり返してしまう。この時点ではコメディかと思ったが…。ラストへの流れはなんだか妙に感動してしまった。幸江が学生時代に貧乏をしていた時、おなじく貧乏だが逞しい女の子と友達になる。大人になり感動の再会がまっているのだが、むちゃくちゃ感動的だ。

■ストーリー
森田幸江(33)は、無職で甲斐性無しの葉山イサオ(35)に尽くしている。二人は大阪で一緒に暮らしているのだが、まだ籍を入れていない。幸江がラーメン屋で働きながら生活を切り詰めやりくりしているというのに、イサオは毎日ボーッとして、やることといえば賭け事ばかり。気に入らないことがあれば、ちゃぶ台をひっくり返す。ところが幸江は、周りに何と言われようと、イサオに惚れて惚れて惚れぬいている。

■感想
ちゃぶ台ひっくり返しのイサオと健気に中華料理屋で働く幸江。幸江がいかにも薄幸な女で、イサオが明らかにダメ男なのが良い。何か気に入らないことがあるとちゃぶ台をひっくり返す。昔のガンコオヤジと大人しい妻を地でいくような二人だ。

イサオは体がでかく暴れん坊で常に問題を起こす。幸江の健気な献身性はどこからきているのか疑問だ。幸江はイサオにベタぼれで、周りから別れた方が良いと言われても決して別れない。なぜそこまで幸江はイサオのことを好きなのか、前半ではまったくわからない。

巷に溢れる暴力男と尽くす女の典型だろう。男の暴力を甘んじて受ける。が、幸江が唯一反抗したのは子供ができたことに対してイサオが何の反応も示さなかった時だ。そこから、幸江は事故に遭い、死の淵をさまようことになる。ここで過去の回想が入るのだが…。

最初はイサオの方が幸江にべたぼれだったというのがわかる。この状態からどうやったら今の力関係になるのか疑問でしかない。何か出来事があり、力関係が変わったのなら理解できるのだが、そんな描写はいっさいない。

幸江の回想で登場してくる学生時代の友達が感動物語を作り上げる。幸江と同じく貧乏だが、逞しく粗暴な女の子。幸江のことを気にし、一時は喧嘩状態の二人も仲直りし幸江が転校する際には、豪華な弁当まで作って持たせてくれた。

貧乏な家庭のはずが精一杯のもてなしをした友達。幸江の感動は観衆にまでしっかりと伝わってくる。そして、現代では妊娠した幸江が友達と再会することに…。前半と後半では物語のトーンが大きく変わってくる

後半の感動物語は、前半とはまるで別物のように思えてしまう。



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