J・エドガー


 2015.9.11      FBIを作った男 【J・エドガー】

                     


■ヒトコト感想

FBIの初代長官であるJ・エドガーをディカプリオが演じる。犯罪を撲滅するために強権を発動させFBIを作り上げた男。そのバイタリティあふれる行動と、相手を押さえつける圧倒的な迫力。純粋に事件解決へ突き進んでいた初期に比べ、中盤以降は英雄としての自分を演じようとする。

ある程度力を手に入れた後のエドガーの行動は非常に強烈だ。黒い疑惑やスキャンダルにまみれながらも、しぶとく長官の座にしがみつけたのは様々な謀略によるところが大きい。FBIがもし存在しなかったらどうなっていたのか。弊害はあるにせよ、その元を作ったエドガーの功績はすばらしい。事実を元にした物語なだけに、強烈なインパクトがあるのは間違いない。

■ストーリー

クリント・イーストウッドとレオナルド・ディカプリオの初めてのタッグを実現させたのは、一人の伝説の男──J・エドガー。FBI初代長官にして、死ぬまで長官であり続けた男。明らかな英雄でありながら、彼にはつねに黒い疑惑や、スキャンダルがつきまとう。国を守るという大義名分のもと、彼がおこなった“正義”とは何だったのか?

■感想
実在したFBIの初代長官、J・エドガーの物語。凶悪化する犯罪を撲滅するために立ち上がった英雄。最初は難色を示した上司たちを、強引な手法で納得させ、FBIを作り上げる。その強引さがすばらしい。新しい組織のリーダーになるような人間には、何かしら強引な部分が必要だ、という見本のような人物だ。

犯人逮捕のために科学的な捜査を取り入れ、指紋のデータベースまでも作ろうとする。新しいことをやろうとすると、必ず保守的な人物から横やりが入るが、それらを強引な手法で切り抜ける。まさにエドガーのすばらしさが描かれる序盤だ。

中盤からは強引な手法に拍車がかかり、周りから疎まれるようになる。メディアの英雄でありながら、常に黒い疑惑が付きまとう。リンドバーグ事件を解決するあたりが、もしかしたらエドガーのピークなのかもしれない。

エドガーの強烈な個性で周りをひっぱり、そして事件を解決する。アメリカの犯罪者を震え上がらせたFBIを作り上げた存在というのはものすごいことだ。多少の強引さにおけるスキャンダルなんてのは、目をつむるべきだろう。

エドガーの晩年が描かれているのだが、これまた強烈だ。常に相棒の副長官と共に、権力にしがみつく男。副長官との禁断の愛が描かれているのだが、実在の人物もそうだったのだろうか?特殊な人物であることは間違いなく、それをディカプリオが強烈な存在感で演じている。

華やかな作品ではなく、小難しいことは間違いない。万人受けするとは思えないが、FBIがひとりの英雄により作られたということに、衝撃を受けずにはいられない。

エドガーの正義は否定されがちだが、必要悪のように思えた。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp